4話
教室に入ると、先程とは変わり座席指定の紙が黒板に掲示されていた。
私の席は、窓際の1番後ろ。
普段なら喜ぶところだけど、最初は友達を増やしたいから中央の方が良かったな。
自分の座席の方を見ると、隣の席にルイが座っていた。
まさか隣の席なの?
これはラッキーかも。
隣同士なら、授業で嫌でも接点がもてる。
これなら仲良くなりやすいし、ルキルートに入れるかも。
自分の席に行って座る。
そして、深呼吸をして一言。
「おはよう。」
隣の席のルイに声をかける。
まずは、挨拶。
いくら厳しいルールがあったとしても、挨拶ならセーフになるだろう。
「もうお昼だから、こんにちはかな。」
ルイは軽く笑いながら応えてくれた。
最初から柔らかい雰囲気で接してくれるんだ。
これなら、話しても大丈夫かな。
「あ、そっか。こんにちは。ねぇ、私のいない間なにしていたの?」
「特には。自己紹介と配布物の説明くらいかな。」
大事なイベントが終わっていた。
私はこれから話す度に、名前を聞かないといけないのか。
「配布物の説明って、どんなの?」
「別に。これが生徒手帳とか、これが寮のガイドブックとか、足りないものがないか確認したくらいだよ。」
あー、それはいなくても大丈夫だったな。
「ありがとう。助かったよ。」
「いーえ。それより、俺のこと知らないの?」
え、ルイでしょ?
あ、やばい。
この人、この国の第一王子だ。
初対面なのに、タメ口は良くなかった。
「失礼いたしました。同級生とお話できたことが嬉しく、はしゃいでしまいました。大変なご無礼をどうかお許しください。」
私は立ち上がって丁寧に頭を下げて謝る。
これから仲良くならないといけないのに。
初日からやらかしてどうする。
「いや、ごめん。そうじゃなくて、知っていてその態度だったら、嬉しいなって思っただけで。」
すごく戸惑っている。
「嬉しいですか?」
「そう。ここでも第一王子として接してくれることが多くてね。学友として仲良くしたいのに、難しいね。」
ルイは複雑そうに笑った。
あら、完璧超人でも悩むことはあるのね。
「じゃあ、私が友達になります。」
「え?」
「私が、ルイ様の友達になります。じゃなくて、ルイの友達になる。」
友達にさえなれば、家に招待されやすくなるだろう。
ルイは目を丸くしてびっくりした後に、嬉しそうな顔をしてくれた。
「ありがとう。あ、名前聞いてもいいかな。」
「自己紹介してなかったね。私は、ルナ・ピラフィル。」
「ルナね。俺は、ルイ・ミンフィーユ。って、知っているか。」
改めて向き合って自己紹介をする。
ルイの笑った顔、ルキに似ている。
やっぱり、兄弟なんだ。
よし、これでルキルートに近付いたし、初日にしては順調なのでは?