571話
「俺も気になってずっと調べてたんだ。でも、いくら1人でも限界があることに気づいて、クワワに相談したの。」
クワワって、先祖返りの研究をしている人だよね?
たしか、ツバサの実家に初めて行ったときに変な小芝居をしてた…
「クワワさんに聞いてわかるものなの?」
「うん。だって、俺に特殊魔法くれたのクワワだもん。」
え?
「クワワさんって、先祖返りの研究してる人じゃなかったっけ?」
「それもしてるけど、メインは魔法の方!」
そうだったんだ…
「で、聞いてみたの。『昔、俺にくれた特殊魔法が突然使えなくなったんだ。』って。そうしたら、使えてたことすら知らなかったみたいで、いっぱい検査された…」
そりゃあそうだ。
知ってるのは、ツバサとアカリ先輩、私の3人だけだったもん。
「それで、なんでだったの!?」
アカリ先輩は早く理由が知りたいようだった。
「単純に俺が成長して、必要じゃなくなったからだって。」
へ?
そんな理由?
「ツバサのどこが成長してるのよ?」
アカリ先輩は不満そうだった。
もっとすごい理由があると思ったもんね。
いや、ツバサも十分成長してるけど…
「クワワによると、魔法の技術面だけじゃなくて、心の成長もして、精神が安定してきたからみたいな?」
「じゃあ、精神が不安定になればまた使えるってことか?」
「試したことはないけど、クワワが言うにはそうみたいだったよ。」
そうなるよな…
でも、ツバサが情緒不安定になるのは嫌だな…
「もう使えなくていいんじゃない?」
「えぇ、結構便利だったんだけどな…」
ツバサは残念そうにしている。
「でも、私と離れないといけなくなるよ?」
「なんで?」
「私と一緒にいたら、楽しくて精神も安定しちゃうでしょ?だから、使うためには離れないと。」
「たしかに!じゃあ、使えなくていいや。」
ツバサはニコッと笑う。
本当に扱いやすくて助かる。




