504話
「ぜひ、お願いいたします。」
ツバサは去っていく男性を笑顔で見送る。
あれから何人の人が来ただろう…
私はツバサの横で終始ニコニコ。
たまに「ルナ王妃、本当にお美しいです。」とか「ルナ王妃はどう思われますか?」とか「ぜひ私の妻も含めてお食事したいです。」とか…
私にも話を振られた。
その度にツバサが「私が嫉妬してしまうので、ルナに話しかけるのはお控えいただければと思います。」と断ってくれた。
だから私は話すことなく、ずっとニコニコ。
さすがに辛すぎる…
「ツバサ王、ルナ王妃。ご結婚及びご建国、おめでとうございます。」
また違う新しい男性がやってきた。
え、もう無理だよ?
「サユス侯爵、本日はお越しいただき、ありがとうございます。すみませんが、ルナの具合が良くないみたいですので、1度失礼いたします。」
ツバサは丁寧に断り、私をお姫様抱っこして運ぶ。
「ありがとう…」
「もう…ちゃんと言ってよね。」
ツバサは心配そうにしている。
うぅ、ごめんよ…
「しばらく、ここで大人しくしててね。」
パーティー会場近くの客室にやってきて、ソファに座らせてくれた。
ツバサは心配そうに私の手を握っている。
「大丈夫だよ。」
「本当?」
「本当。でも、座っていたいかも。」
立ちっぱなしだったし、笑いすぎて疲れた…
「俺もここにいようかな。」
ツバサは隣に座る。
「王様がいなくて大丈夫?」
「ルナの方が大事だから。それに、みんながなんとかしてくれるから大丈夫だよ。」
本当にツバサ変わったな…
私以外の人と関わって、信用するようになってる。
「じゃあ、5分だけね。」
「はーい。」
やっぱり、隣にいるだけで安心する。
私はツバサの肩に寄りかかる。
「甘えん坊だ。」
「今はいいの。」
「そっか。」
ツバサは嬉しそうに笑っていた。




