501話
「ルナも挨拶する?」
ぽけーっと国民を眺めているとツバサに尋ねられた。
え、した方がいいのかな?
「こういうのって、何言うの?」
「どういう王国にしていきたいか?」
あぁ…
マリアさんに聞かれたことあったっけ…
「頑張ってみる。」
「わかった!」
ツバサは優しく笑い、また1歩踏み出してマイクの前に立つ。
「いや、降ろして。」
挨拶って、ビシッと決めるものでしょ?
お姫様抱っこされた状態じゃ、かっこつかない。
「だーめっ。」
ツバサは頑なに降ろそうとしない。
なんで?
「降ろしてくれないと、婚約破棄する。」
いつもので脅してやる!
「ふふん。もう籍入れてあるんだ。だから、無理だよ。」
ツバサはドヤ顔をしてくる。
クッソムカつく!
「じゃあ、別居だね。」
「え?」
「これから、ツバサのこと無視する。嫌いになる。」
脅す方法なんていくらでもあるもんね。
「できないでしょ?」
え?
「ルナはそんなことできないよ。」
「できるもん!」
「じゃあ、やってごらん?」
やってごらんって…
とりあえず、黙ってみる。
「どうしたんだろ?」
「ツバサ王はニコニコしていらっしゃるけど、ルナ王妃の顔色が良くないわ。」
国民たちがザワザワし始めた。
うぅ、罪悪感…
「ツバサなんか嫌い…」
私はボソッと呟く。
「嘘でしょ?」
ツバサはニコニコしてるけど、内心で焦ってそう。
「本当。こんなことするツバサ、嫌い。」
「はぁ…わかったよ。降ろすよ。」
ツバサは観念したようで、ようやく降ろしてくれた。
そして、隣にならんで手を繋いできた。
「これでいい?」
ツバサは少し怯えながら尋ねてきた。
「いいよ。」
私が了承すると、ニッコリ笑ってくれた。




