469話
「失礼いたします。」
扉をノックする音がし、ラナさんが部屋に入ってきた。
「どうしたの?」
「ツバサに会いに来ました。」
ラナさんはニコッと笑う。
「職権乱用だ…」
「使えるものは全て使わないともったいないですよ。」
本当にツバサのことが大好きなんだ。
羨ましい…
「ん?今は客人がおりましたか…」
「初めまして。シルク・ラビリッツです。」
「シルク王子!?お会いできて光栄です。」
ラナさんはシルクの手をガッツリ握る。
「そう言っていただけて、僕も嬉しいです。」
シルクはニコッと笑う。
「私、魔法管理局の宰相をしているラナ・コモスと申します。シルク王子のお噂はたくさん聞いております。」
「魔法管理局の方でしたか。お世話になっております。少しご相談したいことがあるのですが、よろしいでしょうか?」
「もちろんです!」
シルクとラナさんは、2人で盛り上がっていた。
私たち、お邪魔かな?
「ツバサ、デート行こっか。」
「うん!早く行きたい!」
私はツバサの手を取って、部屋から出る。
「どの程度、完成してるの?」
「もう全部終わってるはずだよ。俺も確認しに行かないといけなかったんだけど、時間がなくて…だから、今日デートできてよかった!」
私に構わないで、確認しにいっても良かったのに…
それをしないで、側にいてくれるのがツバサらしいけどね。
「今日中に全部回れるかな?」
「小さい王国だから、大丈夫だと思うよ。」
そうなんだ。
「それとも俺の背中に乗って、ある程度まで行こうか?」
それもアリだけど、めちゃくちゃ早いんだよな…
「ゆっくり走ってくれる?」
「もちろん!街並みが見られるくらい、ゆっくり走るね。」
それならお願いしようかな。
「なにか持っていった方がいいモノとかある?」
「特にないかな。」
そっか。
「早く行こ!」
ツバサは元気に走り出した。




