386話
「入るぞ。」
ノックの音がして扉が開き、ルイが入ってきた。
「俺たち帰るな。」
え!?
「なんで?」
「アニマル王国に魔物が出たんだ…」
まじか…
「シルク王子とアルス王子、スティはもう向かった。俺は一応伝えておこうと思って。」
シルク、大丈夫かな…
「俺も行くよ。」
「でも、忙しいんだろ?」
「それとこれは別。こっちの方は別に何とかなるし。」
今も本当は仕事しないといけないもんね。
「ありがとうな。」
ルイは嬉しそうに笑った。
「ルナはここで待ってて。」
え、またお留守番?
「私も行くよ!」
「絶対にダメ。良い子だから、待ってて。ね?」
ツバサは私の顔を覗き込んでお願いしてきた。
「やだ…私も助けたい…」
「俺が全部守るから。大丈夫だよ。」
ツバサなら本当に全部守れそう。
だけど、私だって力になりたいよ…
「ルイ。ルナのこと任せていい?」
「わかった。」
ルイが強くうなづいたことを確認して、ツバサはオオカミになってすぐに出て行ってしまった。
「ツバサ!」
「ルナ、大丈夫だから。今はここにいようぜ。」
ルイは諭すように優しく声をかけてくれた。
「でも、私も戦いたい…みんなの力になりたいよ…」
「俺もだ。だけど、俺たちはツバサの足でまといになりかねない。もっと強くなろう。」
そんなことない!とは言いきれない…
たしかに、ツバサは強い。
実際に戦っているところを見たわけじゃないけど、魔物の巣窟を1人で壊して救出できる実力がある。
私が行く必要ないってことはわかってる。
わかってるけど、じゃあツバサのことは誰が守るの?
背中を預け合える仲になりたい…
「ルナ。今日はもう遅いから寝よう。」
ルイが子供をあやすように優しく頭を撫でてくれた。
「一緒に寝てくれる?」
「え…って、もうからかうなよ。」
ルイは顔が少し赤くなったが、すぐに戻った。
「からかってないよ。本当に今日は一緒に寝てほしいだけ。」
「ベットは別だからな…」
「やだ。手繋いで寝たい。」
「それは絶対にダメだ!」
ルイは顔が真っ赤になっている。
「お願い。」
「ルナが寝るまでだけな…」
ルイは渋々了承してくれた。
「ありがとう。」




