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377話

「ツバサ、私ほしいものあるんだけど…」

ツバサが仕事をするように説得するため、私はおねだりをすることを決めた。

こういうテンプレしか思いつかなかった…

「なに?なんでも買ってあげる!」

ツバサは嬉しそうに笑った。

えっと、買えなさそうなモノがいいよね?

なんだろう…

「車?」

「この世界にはないよ。」

移動は全部馬車だもんね。

ちなみに、船はあるよ。

「ツバサが作ってよ。」

「わかった!」

「あの、お仕事があるので、それは難しいかと…」

あぁ、そっか。

じゃあ…

「家?」

「2人で暮らす家ってこと!?いいね!俺もほしい!」

ツバサはテンションが上がっているようだった。

そうじゃないけど、まぁいいだろう。

「では、王城建設へ戻りましょう!」

偉そうな人は嬉しそうにしている。

あぁ、仕事って王城建設なのね。

最初から『家』って言えば良かったのか。

「王城じゃないよ。俺とルナだけの家だもん。」

ん?

「どこに建てる?俺ね、海辺がいいな。」

ん?

「あ、でも雨が降ったら大変だよね?そうしたら、ミンフィーユ王国の南の方は?走り心地のいい芝生!」

ん?

「ツバサ、ティートル王国に建てるんじゃないの?」

「王国は作らないよ。」

ん?

「作ります!もうすぐできます!」

偉そうな人は急いで訂正をする。

「でも、建国したらルナに婚約破棄されちゃうもん。いつまでも建設中だったら、大丈夫でしょ?」

あぁ、そういうことね。

「大丈夫。婚約破棄しないよ。」

「ほんと!?いいの?」

まだね。

ルキが現れたらわからないよ。

「ルイがね、『王になるとき、みんな友達なの嬉しい。』って言ってたの。」

「またルイ…」

ツバサは不満そうにしている。

「最近、ルイの話多くない?」

そうかな?

「俺たち、仲良しだもんな。」

横からルイがニコッと笑いながらやってきた。

「ねー!」

「俺のルナだからね。」

ツバサが軽く抱きついてきた。

「取らねぇって!」

「奪わなくていいの?」

「え…奪ってほしいのか?」

ルイは顔を赤くし、少し嬉しそうにしている。

「絶対にダメ!」

ツバサは私をお姫様抱っこして、逃亡する。

「ツバサ!?」

「早くルナを隠さないと!」

ツバサは焦っているようだった。

「ツバサ王!早くお仕事に!」

後ろから偉そうな人が頑張って追ってきている。

あぁ、ツバサの部下って1番大変な仕事かも…

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