34話
私たちは、2年棟に向かった。
2人でいたから、余計に注目された…
でも、誰も詰めよってこなかっただけマシ。
「すみません、シルク王子とアルス王子はいますか?」
昨日同様、ドア付近の生徒にルイが尋ねる。
生徒はすぐに呼んできてくれた。
「ルイ王子とルナちゃん…記事を見たからかな?」
「ルナちゃん、僕に会いに来てくれて嬉しいよ!婚約の話かな?」
「そうです。クララくんに確認したら、おふたりにお願いされたって…」
アルスのことは、スルーしてシルクと話す。
「ここだと他の生徒にも聞かれちゃうから、移動しない?」
シルクに促されてみんなで移動する。
その辺の空き教室ではなく、生徒会棟に連れてこられた。
そんなに聞かれたら困る話なの?
「わざわざここに来るほど、重要な話なんですか?」
シルクは困った顔をした。
「ちょっとね。」
「僕たちの婚約の話もあるもんな。」
アルスはもう黙っててよ。
私とルイはアルスをスルーして、シルクの話を聞こうとする。
「昨日、ルナちゃんにはちょっと言ったけど、朝から僕とアルス王子、記事について呼び出されちゃって…」
あぁ、話してくれるんだ。
「そこで、めちゃくちゃ怒られた。」
心配だけじゃなくて、怒られもしたんだ。
それで、あんなに疲れてたのね。
「僕には婚約者がいないからまだ大丈夫だったけど、アルス王子にはスティ様がいるでしょ?でも、アルス王子が『記事書いてあることは真実です。』なんて言うから話がこじれちゃって…それで、スティ様も呼び出されることになったんだ。」
おい。
私はアルスを睨む。
「スティ様は、『ルナは2股するような子じゃありません。』って否定してくれてたんだけど、ルナちゃんに毒されてるってことになりかけて…」
私、小悪魔通り越して悪魔じゃん。
「それで、どんどん偉い人が呼ばれて増えていって、僕たちとルナちゃんの処分をどうするかって話になってさ。」
うわぁ、やばいことになってるじゃん。
「とりあえずルナちゃんの素性を調べると、光魔法を使えるってことがわかって…」
あぁ、まだそんなに知られていなかったのか。
「そうしたら、今度はスティ様との婚約を破棄して、ルナちゃんとの婚約を新たに結ぼうとし始めたの。」
なんで!?
「アルス王子を始めとするフラージア王国の人は、それに賛同してて…」
やめてくれい!
「それで、収集つかなくなっちゃって、一旦おひらきしたんだ。」
それで、アルスはさっきから婚約婚約言っているのか。
「ルナちゃんも僕と婚約したら、嬉しいよね?」
「全く嬉しくないです。」
はっきり否定しておく。
「それで、なんで訂正文を出さないことになったんですか?」
ルイが本題に戻してくれた。
「昨日、ルナちゃんから訂正文が出ることを聞いて、これ以上ややこしくなったら大変だと思ったんだ。それで、アルス王子と相談して、止めてもらったの。」
なるほど。
「でも、ルイ王子の記事も出るとは思わなかったよ。今日の話し合いも10時から始まる予定なんだけど、多分ルイ王子も呼ばれるよ。」
「マジか…そんなめんどくさそうなのに俺も行かないといけないんですか?」
ルイはとても嫌そうにしている。
そりゃそうだ。
私だって、嫌だもん。
「多分、ルナちゃんも呼ばれるんじゃないかな?」
なんで!?
「王子を同時にたぶらかしてる子って印象になっているし、『光魔法で操ってるのでは?』って話もあったから…」
あぁ…
「今日の話し合いにスティも参加するのでしょうか?」
「うん。昨日集まった人は、全員呼ばれているはずだよ。」
スティも大変だな…
まぁ、元凶でもあるんだけどね。




