326話
「ルイはその傷、大丈夫?」
ルイの体中に小さな傷がついていた。
「本物だよな?」
ルイが少し嫌そうな顔をしつつ尋ねてきた。
「もしかして、私に変身した魔物と戦ってたの?」
「あぁ…」
「どうやって気づいたの?」
「えっと…ルナがキスしようとしてきて、さすがに違うなって…」
ルイは恥ずかしそうに答えてくれた。
え、それ私の方が恥ずかしくない?
「そっちは、誰に変身してたんだ?」
「最初がルイ、途中からツバサ。」
「俺かよ…どうやって気づいたんだ?」
ルイは嫌そうにしている。
「シルク先輩が『ルイ王子は僕に敬意を持って接してくれてるんだ!』って見破ってくれた。」
「え、嬉しいな。」
ルイは少し照れつつ、嬉しそうに笑った。
私もそういう見破られ方されたかった…
「ルナ!大丈夫?」
オオカミのツバサが背中に人を2人乗せて、部屋に入ってきた。
「ツバサ?」
「もう、ルナ!心配した!」
ツバサはオオカミのまま、私に抱きついてきた。
「行方不明者を見つけて戻ってきたら、お家が真っ暗でびっくりしちゃった。」
ツバサは泣きそうな顔をしている。
やっぱり、背中の人が行方不明者か…
「ほら、早く降ろしてあげな。」
「いえ、自分たちのことは気にせず!」
行方不明者たちは怪我はしておらず、元気そうだった。
「彼、凄かったんだよ。ここに戻ってくるときに君に変身した魔物と会ったんだけど、『ルナじゃない!』ってすぐに倒しちゃったんだ。」
ツバサも魔物と戦ってきたんだ。
「だって、声はちょっと高いし、顔はちょっとブサイクだし、身長はちょっと高かったんだもん。」
それだけ聞くと、だいぶ違うな…
「今、本人を見ても俺たちには見分けがつかないよ。」
行方不明者は楽しそうに笑った。
「どこにいたの?」
「魔物の洞穴。」
え?
「俺たち、人質にされちまってよ。」
サラッとすごいこと言ってる自覚あります?
「彼がその場にいる魔物を全部倒して助けてくれたんだ。」
すげぇ…
「みんな弱かったよ!」
ツバサはニコッと笑った。
多分、ちゃんと強い魔物と戦ってるよね?
ツバサのこと、怒らせないようにしよ…




