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316話

「みんな、お待たせ…」

アルスが疲れきった顔で戻ってきた。

だけど、スティとミアの姿はない。

「どうだったんだ?」

ルイがアルスに近寄りながら尋ねる。

「とりあえず、繁華街の方は落ち着いた。」

良かった…

「だけど、スティの家が…」

え?

「スティのお家がどうしたの?」

「スティの家がある村が襲われた…」

うそ…

「スティのお母さんは無事なの?」

「あぁ、お義母様含め、村の人は全員無事だ。」

良かった…

「もう住むことができないくらい悲惨な状態だけどな。」

そっか…

「村の人は今どうしてるの?」

シルクが真剣な顔で尋ねる。

「王城に避難してもらって、スティに任せてる。」

同じ村の子がいた方が安心するよね。

「ミア先輩はどうしたんですか?」

「ミアは、街に出ている…」

アルスが少しつらそうに教えてくれた。

街って、今大丈夫なの?

「ミア王女1人でか?」

ルイが心配そうにしている。

「いや、討伐隊と一緒にいる。」

「それでも、危険じゃないのか?」

「そうだけど…ミアがどうしても行くって…」

「俺も行く。」

ルイが部屋を出ていこうとする。

「ダメだ。危ないよ。」

「ミア王女は外で魔物と戦ってるんだろ?だったら、俺も行く。」

ルイの決意は固かった。

「じゃあ、俺も行くよ。」

ツバサがゆっくり立ち上がる。

なんで?

「ルイ1人じゃ心配。」

「ツバサ…ありがとう。さっきはごめんな。」

「いいよ。俺もごめん。」

ルイとツバサは照れくさそうにしている。

良かった良かった。

って、良くはない!

「私も行く!」

「ルナはダメだ。」

ルイが軽く叫んで止める。

「いい子で待ってて。」

ツバサは私の頭を撫でて止める。

「シルク、ルナを頼んだよ。」

「わかった。ルナちゃん、一緒に待ってようね。」

シルクが私の手を掴んで、行くのを阻止しようとしている。

「守られてばかりは嫌だ。私だって、みんなを守りたい。」

「じゃあ、俺を応援しててね。」

また応援?

「私、光属性なんだよ?この国を守った伝説の属性なんだよ?私が行かなくてどうするの?」

「一理あるな…」

アルスが呟いた。

「絶対にダメだ。戦いながらルナを守りきる自信がない。」

「守ってもらわなくて大丈夫!私だって、戦えるもん。」

「ルナ、お願い。ここで待ってて。絶対に帰ってくるから。」

ツバサがきゅるんとした顔でお願いしてくる。

その顔、今しないでよ…

「ルイ王子、ツバサ。ルナちゃんは任せて、早く行って。」

「あぁ。後でな。」

「ルナ、またね。」

そう言って、2人は部屋を飛び出して行った。

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