299話
夕食を食べるために、ダイニングへやってきた。
無駄に広い部屋に無駄に長いテーブル。
よくテレビで見る金持ちのダイニングって感じだった。
端の方にみんなで座って食べる。
「ルナちゃん、王妃様に興味はあるかしら?」
お義母さんが話しかけてきた。
王妃様って、アニマル王国だよね?
そういえば、昔2人でお話させていただいたことあったっけ?
結局、期待に応えられなさそうで申し訳ないな…
「お話させていただいたことがあるんですが、とても素敵な方でした。」
「そうね。ルナちゃんは、王妃様に憧れる?」
憧れか…
「そうですね。普段は堂々としていてかっこいいのに、お話すると親しみやすさを感じるようなお方で、憧れちゃいました。」
「そうよね。ルナちゃんもああなりたいと思う?」
「母さん、さっきからルナに質問ばっかりするのやめてよ。それに、なんで王妃様についてなの?どうせなら、俺の質問にしてよ。」
ツバサは我慢できなくなったようで、お義母さんに少し怒っている。
「ごめんなさいね。どう思っているのか、気になっちゃって…」
「まだ気が早いよ。ゆっくり準備すれば、大丈夫だ。」
シュンとしたお義母さんをお義父さんが優しくなだめる。
準備ってなんの?
「じゃあ、ツバサの話をしようか。ルナちゃんは、ツバサのどこが好きなんだ?」
お義父さんがツバサの希望通りに質問をする。
どこが好きねぇ…
「考えたことないです。隣にいるのが当たり前って感じだったので。」
「俺もルナが隣にいるのが当たり前だよ。」
ツバサが嬉しそうに笑った。
「ツバサは、私のどこが好きなの?」
一応、聞いておこうかな。
「うんとね、笑顔がかわいいところでしょ、俺のこと大事にしてくれるところでしょ…甘やかしてくれたり、甘えてきてくれたりするところも好きだし…あ、いっぱい撫でてくれるところとか、抱きついても怒らないところとかも好き!あとは…」
ツバサは楽しそうに思い出しながら、教えてくれている。
いや、多いな…
普通、こういうときって1個だけじゃないの?
「ツバサ、もう大丈夫。ありがとう。」
「えぇ、まだまだいっぱいあるよ?」
まだあるんか…
「ふふ、ルナちゃん愛されているわね。」
お義母さんが微笑ましそうにしている。
「ツバサ、ルナちゃんのことあまり困らせちゃダメだぞ。」
お義父さんが少し厳しめに注意する。
「え、ルナ困ってる?」
ツバサが不安そうな顔をしている。
「大丈夫だよ。困ったら、ちゃんと言うから。」
私はツバサの頭を撫でる。
「えへへ、ありがとう。こういうところ、大好き。」
ツバサはふにゃあと笑った。
そうかそうか。
それなら、良かったよ。




