293話
翌朝。
なんか暑くて目が覚める。
横を見ると、ツバサの顔がすぐ近くにあった。
あぁ、多分抱きしめられているな…
ダメって言ったのに、仕方がないな。
「ツバサ、おはよう。」
「んん…ルナ?おはよう。」
ツバサは眠そうに目をこすって、ふにゃあと笑った。
寝起きもかわいいな…
「ちゃんと眠れた?」
「うん、ぐっすり!」
なら、良かった。
「ルナ~。」
ツバサが思いっきり抱きしめる。
「どうしたの?」
「幸せ噛み締めてる。」
なにそれ?
「暑いから離れて。」
「いや…」
なんか甘えん坊だな…
やっぱり、あんまり眠れなかったとか?
いや、それはないか。
私はツバサの頭を撫でる。
「ルナ!?」
ツバサはびっくりしている。
「ほら、そろそろ起きるよ。」
「はーい。」
それから数日。
私たちは実家ライフを堪能した。
テラスでツバサとお茶したり、ソルお兄様と恋バナしたり、たまに書斎で勉強したり…
基本的にゆっくりと過ごした。
そして、最終日。
明日は、ツバサの実家へ行く。
最後だから、家族みんなで夕飯を食べる。
「明日にはもう行ってしまうのか。」
お父様が寂しそうに呟いた。
「ティートル公爵家にご迷惑かけないようにするのよ。」
お母様が心配そうにしている。
「大丈夫です!ルナはいるだけで雰囲気が和らぎますから。」
ツバサが謎の自信たっぷりに笑う。
「本当に良い人に出会えて良かったわ。」
お母様が少し泣きそうになっている。
「ルナのこと、これからもお願いします。」
お父様が軽く頭を下げる。
「はい!任せてください。」
ツバサはニコッと笑った。




