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278話

私たちは個室に通された。

きっと気を使ってくれたんだろう…

「ごゆっくり。」

ボーイが一礼して去っていく。

「ルナ、何食べる?」

ツバサは楽しそうに笑っている。

え、緊張でそれどころじゃないんですけど…

あと、メニュー表に書いてある値段が全くかわいくない!

「あ、これとかルナ好きそうだね。」

ツバサが指さした料理は、『0が1つ多いのでは?』と思ってしまうほどの値段だった。

「ツバサ、やっぱりお店出ない?」

「え、なんで?」

「だって、値段が…」

「もう公爵家舐めないでよ。これくらい安いもんだよ?」

まじで言ってる?

「それに俺、このお店来たことあるし。」

そうなの?

「一時期、『常連か?』ってくらい通っていたし。」

まじか…

「誰と来てたの?」

「うーん、ラナと来たこともあるけど、ほぼ1人かな?」

え!?

ラナさんと来たことあるの?

「いいなぁ…そのとき、ラナさんは何食べてたの?」

「え…これかな。」

「じゃあ、それにする!」

ラナさんと同じものを食べられるの嬉しい!

ツバサも『大丈夫。』って言っているし、甘えちゃお。

「なんか急に元気じゃない?」

ツバサは不満そうにしている。

「そう?」

「ラナの名前出したときから、こうテンション高いって言うか…」

そりゃあ、そうだろ。

まさか、好きな人と同じものを食べられる日が来るとは思わなかったからね。

これが転生の醍醐味か…

「ねぇ、ルナ。」

「なに?」

「もしも、ラナさんと会えたらどうする?」

どうするって…

「ルキみたいに、俺に内緒で駆け落ちするの?」

ツバサは悲しそうな顔をした。

あぁ、そういうことね。

「しないよ。ラナさんのことも好きだけど、ツバサの方が大切だから。」

「そうなの?良かったぁ。」

ツバサは嬉しそうに笑った。

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