276話
「アカリって、クライス様と誰の子どもだと思う?」
ツバサが前置きとして、質問してきた。
えぇ、誰だろう…
でも、続編の攻略対象が魔王になるってことは…
「続編のヒロイン?」
「そう。クライス様と続編のヒロインの間に生まれたのが、アカリ。」
やっぱり、そうなんだ。
「ヒロインとクライス様はね、戦っているときに恋に落ちたんだ。」
へ?
戦いながら恋に落ちることってあるの?
「正確には、ヒロインがクライス様にとどめを刺すのに躊躇して、クライス様を封印することを決めるの。」
あぁ、だから魔王ってずっと封印されていたのか。
何年もとどめを刺されずに封印される魔王って、なんか切ないね…
「それで、封印する前に2人で話し合ったんだ。」
なぜに?
「ヒロインが『クライス様の意見を尊重したい。』って思ったみたい。それで、2人で話し合ってるうちにお互い惹かれあっちゃって…みたいな?」
なるほどな。
「最初の数年は封印せずに3人で楽しく暮らしていたみたいなんだけど、クライス様が生きていることが国にバレちゃって…」
あぁ、幸せが崩れる音がする…
「それで、クライス様はアカリを守るために、ヒロインに自分を封印するように説得したの。」
アカリ先輩、めちゃくちゃ愛されてるじゃん…
「ヒロインはクライス様を無事に封印することができたのね。だけど、国に殺されちゃったの。」
なぜに!?
「クライス様に洗脳されているんじゃないかってことになって…」
あぁ、なんでそうなるのか…
純粋な恋愛じゃん。
「で、殺される前にアカリを守ろうと、あの小屋をつくってアカリを置いていったの。」
なるほどね。
「あの小屋って、実はすごいんだよ。ヒロインの光魔法がかかっているから、アカリが許可した人以外見えないようになっているんだ。」
それはすげぇ…
「国は、今もアカリ先輩を探しているの?」
「うん…顔も名前もわからないから無理があるけどね。」
結構、アカリ先輩って危険な身だったんだ。
なのに、明るくて優しくて元気で勇気があって、本当にすごいよ!
「前置きはこれくらいにして、本題のペンダントの話をするね。」
あぁ、これも前置きだったんだ…
「あのペンダントはヒロインが、魔王討伐のために手作りしたモノなんだ。」
あぁ、だからアカリ先輩は『手作り?』って尋ねてきたのか…
「ヒロインの光魔法がたっぷり入っているから、闇属性の魔法を跳ね返すことが容易にできるんだ。」
なるほどね。
「この前、『闇魔法を吸収するから爆発する。』って言ったと思うけど、キャパオーバーで爆発する方が正しいかな?」
なるほどね。
まぁ、爆発するのに変わりはないから、どっちでもいいよ。
「私にも作れるの?」
「もっと魔力が増えたら作れると思うよ。」
そうなんだ…
ちょっと作ってみたいかも…




