262話
さて、お揃いのピアスはどうしよう…
「ルナ、どんなの付けたい?」
うーん…
特に拘りはないんだよな。
「パッと見は気づかないけど、よくよく見たら同じみたいなのがいいかな。」
あんまりお揃いを付けすぎると、バカップルみたいで嫌。
「そっか…じゃあ、この輪っかになってるのは?」
ツバサがフープピアスを手に取って見せてくれた。
「いいかも。」
ツバサのケモ耳にも映えそう。
「じゃあ、デザインはどうしよう?」
「シンプルなのでいいんじゃないかな?」
片耳にワンコ付けるし。
「じゃあ、銀色のこの輪っかにしようか。」
「賛成。」
「えへへ、じゃあ買ってくるね。」
ツバサはルンルンでお会計をしに、レジまで行った。
出入口のところで待ってよう。
私はお店を出て、出入口の横に立つ。
結構遅くなっちゃったな。
空はオレンジ色と黒色のグラデーションになっていた。
「あの、話しかけてもいいですか?」
知らない男の人が話しかけてきた。
「いいですよ。」
暇だし、道案内とかは難しいかもだけど、なんとなーくならわかるし。
「ありがとうございます。お姉さんがかわいすぎて、声掛けちゃいました。」
あぁ、ナンパか。
って、人生初ナンパなんですが…
「あそこのご飯がすごく美味しくてさ、今から行きません?」
これって、どうするのが正解なんだ?
「ごめんなさい。大丈夫です。」
とりあえず、断ってみる。
「えぇ、そんなこと言わないでさ。行きましょうよ。」
いや、断ってるんだから食い下がれよ…
「いや、本当に大丈夫なんで。」
「まぁまぁ、とりあえず行きましょ?」
男の人が私の手を掴んで、強引に連れていこうとする。
やべぇ…
意外と力強くて、振り解けない。
「いてててててて。」
急に手が離れたと思ったら、男の人の痛そうな声が聞こえた。
顔を上げてみると、ツバサが男の人の腕をひねり揚げていた。
「俺の婚約者に触るな。」
「わかった。わかったから、離して。」
ツバサは男の人の手を離す。
「ったく。婚約者がいるなら、さっさとそう言えよ。」
男の人は捨てセリフだけを吐いて、どこかに行ってしまった。




