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251話

「罰的には、さっきの痛い方が良かったんじゃないか?」

ルイがおでこをさすりながら提案してきた。

まだ痛いのか…

「え、やだ…痛いの嫌い…」

ツバサがしっぽを丸めた。

やっぱり、ワンコだ。

「注射、苦手でしょ?」

「うん。あんなのやる意味ないよ。」

いや、やる意味はあると思うよ…

「獣人って、人間より打った方がいい注射の数が多いって聞いたことあるけど、どうなんだ?」

ルイが興味津々に尋ねている。

「えぇ、どうだろう…俺は打たなくてもいいように逃げたから、わかんないや。」

え、逃げれば打たなくてよくなるの?

なわけないでしょ。

「ツバサ、今度一緒に病院行こうね。」

「え、なんで?ルナとのデートでも行かないよ。」

ツバサはすごく嫌そうな顔をしながら拒絶してくる。

こんなに嫌がられたの初めてかも…

ちょっと悲しい…

「ツバサ、私とデートしたくないんだ…」

「そんなことは言ってない!」

ツバサは必死に否定する。

「いや、言ってたろ。俺と代わりにデートしようぜ。」

「そうだね。ルイと一緒に病院デートする。」

「やだ!俺がルナと病院デートするの!」

しめしめ。

「じゃあ、夏休み入ったらすぐにデートしようね。」

「こんな嬉しくないお誘い初めてだよ…」

ツバサはシュンとしている。

「少しでも長く一緒にいるためだよ。頑張ろ?」

「うん…ご褒美いっぱいちょうだいね?」

うーん…

まぁ、いいだろう。

「何がいいか、考えておきな。」

「うん!」

ツバサはニコッと笑ってくれた。


それから数日が経ち、夏休みになった。

10日当番の仕事が終わったため、いつも通りのダラダラとした日常を過ごしていたら、あっという間に9月の夏休みが来てしまっていた。

サイモンさんはずっと忙しかったみたいで、放課後の特訓はやらなかった。

魔王の居場所って、そんなに見つからないっけ?

もちろん、旧討伐メンバープラスツバサでフラージア王国へ行く予定も軽く立てたよ。

でも、みんな忙しいみたいで下旬に無理やり合わせたんだ。

魔王復活がバレている頃だから、情勢が少し不安だったんだけど、みんな強いし特訓もしているから大丈夫だろう。

まぁ、私とツバサがいる限り、魔王封印なんてさせないし、襲ってこないだろうけど。

そんなわけで、楽しい夏休みがスタートしたのだ!

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