239話
「てか、話しながら作業したかったんだろ?なんか話題くれ。」
ルイが私の気持ちを察してくれたようで、話しかけてきた。
「ありがとう。じゃあね…」
なんか話題くれって言われても、あんまり思いつかないな…
「話題ないのかよ…」
私が考えていると、ルイが呆れたように呟いた。
「あるもん!ほら、昨日の…ミルフィーユ!あれ、美味しかった。」
私は頑張って話題を絞り出した。
「あぁ、あれな。俺の家に代々伝わるレシピでさ。一応、ミンフィーユ家以外の者に作り方を教えちゃいけない決まりなんだけど、ルナに食べて欲しくてさ。」
え、機密情報ってこと?
「ツバサが知っても大丈夫なの?」
「ツバサはどこにも漏洩しないだろ?だから、良いんだよ。」
まぁ、たしかにツバサは絶対にそんなことしないだろうけど…
「それに、俺もツバサの機密情報を教えてもらったし。」
そうなの?
「ルイが教えてくれたんだもん。俺も教えないと、不公平でしょ?」
たしかに…
「だから、あのミルフィーユが食べたくなったら、ツバサに言えよ。」
「ルイがまた作ってよ。」
「そんな頻繁には作らねぇよ。結構、大変なんだぞ?」
お菓子作りが大変なのは、知ってるけど…
「本家が作った方が、美味しそうじゃん。」
「待って!俺、頑張って習得するから!」
ツバサが少し焦っている。
「ツバサは十分、お菓子作り上手だよ?」
「じゃあ、俺が作ったの食べてよ。」
えぇ…
「ミルフィーユだけは、ルイのがいいな。」
「そんな…」
ツバサはシュンとしてしまった。
「じゃあ、ルナがミルフィーユ食べたくなったら、俺とツバサで作るな。」
「わかった。楽しみにしてるね。」
そんなことを話しているうちに、休み時間の終わりが近づいてきた。
あと少しだけ残っている。
「残りは、昼休みか…」
そうだね。
「ついでに、点検もやっちゃう?」
「そうだな。掃除が終わったら、少しずつ外に運ぶか。」
昼休みも大変そう…




