231話
「今度はどこですか?」
「僕との思い出を巡るんだよ?思い出せばわかるはず。」
えぇ…
覚えてるわけないじゃん…
もう半年くらい経ってるんだよ?
「この辺りだったかな。」
男子寮の裏手側にやってきた。
「こんなところで会いましたっけ?」
「2回目の迷子。」
あぁ、アルスに追いかけられたときか…
「あれもこんな近くだったんですね…」
「そうだよ。意外と惜しいところで迷子になってるんだよね。」
シルクは楽しそうに笑った。
私、ただ恥ずかしいやつじゃん…
「その節はお世話になりました…」
「いーえ。普通は1日で2回も迷子になるなんて思わないよ。まぁでも、それでルナちゃんのこと好きになったんだけどね。」
そうなの?
初日で好感度上がりまくってたのかよ…
「迷子になってくれてありがとう。」
シルクは嬉しそうに笑った。
あぁ、この微笑みを見て「シルク=神様」とか思ってたな…
懐かしいや。
まぁ、今も神様みたいに優しいけどね。
「そういえば、地図の見方を教えてないね。」
たしかに。
あの日は「もう遅いから明日ね。」ってなったんだっけ?
でも、次の日に光属性なのがわかって、特訓が始まったから、時間があんまりなかったんだよね。
「今からでも教えようか?」
「多分、もう使わないので大丈夫です!」
「ほんと?」
シルクは心配そうにしている。
「今はツバサがいるので、何かあったらいつでも助けてもらえます。」
「そうだよね…」
シルクは少し寂しそうな顔をした気がした。
「さて、そろそろ次行こうか。」
次はどこだっけ?




