220話
私たちは旧校舎にやってきた。
旧校舎の周りには、そこそこ長く伸びた雑草がたくさん生えていた。
「もしかして、これ全部?」
「だな。」
ちょっと多くない?
「できるところまでやるか。」
「半分終わればいいところかな。」
まじか…
「草で手切ったら危ないから、軍手取ってくるね。」
ツバサが校舎の方へ駆け出していった。
「どの辺りまで生えてるかな?」
「この旧校舎の周り全体的かな…って思ったけど、裏側はそんなだな。表側だけすごい伸びてる。」
日陰だとそんなに育たないもんな。
「とりあえず、裏側だけやって待つか。」
ルイがしゃがんで草むしりを始める。
私も近くに寄り、草むしりをする。
「ねぇ、ルイ。」
「なんだ?」
「こういうのって、あんまり抵抗ないの?」
「こういうのって?」
ルイは不思議そうにしている。
「だって、ルイは王族でしょ?こういうこと、普段絶対にやらないじゃん。」
「だから、経験になっていいんじゃないか?」
そういう風に考えることもできるのか。
「嫌じゃないの?」
「他の人だったら嫌かもしれないけど、ルナとツバサと一緒だと楽しいぜ。」
ルイはニコッと笑った。
本当に楽しいんだろうな…
「ルナは?」
「私は、こういうのめんどうで好きじゃない。」
「そっか…」
ルイが少し寂しそうにした。
「でも、私もルイとツバサと一緒だと楽しいよ。」
「だよな。」
ルイはもう一度笑ってくれた。
「あ、いた!軍手とかもらってきたよ。」
「おぉ、ありがとう。」
ツバサに友達をつくらせて、本当に良かったかも。
「ルナにも!」
「ありがとう。」
私はツバサの頭を撫でる。
「えへへ。」
ツバサは嬉しそうに笑った。
時間ギリギリまで草むしりをすると、意外にも3分の2が終わった。
「結構、ペース早いな。」
「あとなんの仕事が残ってるの?」
「あとは…残りの学習室の清掃と魔道具系、あと配ったプリントの1部回収だな。あ、花壇の水やりも。」
ルイが紙を見ながら、まとめてくれた。
おぉ、結構終わってる。
「2日で終わりそうじゃない?」
「頑張ればいけるな。」
10分前の予鈴が鳴り、私たちは急いで教室まで走った。
ちなみに、抜いた草はルイの炎魔法で安全に燃やしてもらったよ。
便利!




