218話
「とりあえず、どれやる?」
私はルイに尋ねる。
「毎日サボらずにやらせるために、期限が設けられてるんだ。それで、簡単な仕事もあれば、複雑な仕事もある。」
ルイが紙を見せながら説明してくれている。
「簡単な仕事ばかり先にやっていくと、複雑な仕事が後に残るし、期限までに終わらなくなるかもしれない。だから、期限通りの順番でいいんじゃないか?」
そうだね。
「そうすると、今日は広場の掃除と寮にある花壇の水やり、プリント配布だな。」
広場の掃除って…
あの広いところを掃除するの!?
水やりとプリント配布はめちゃくちゃ簡単だから、すぐ終わるだろうけど…
「じゃあ、掃除からする?」
ツバサが呑気なことを提案する。
「今から行って間に合うかな?」
「余裕でしょ?」
そうかな?
「今はプリント配布、何日かわけてやる教室清掃やろうぜ。どっちも教室でできることだし。」
そうだね。
「じゃあ、俺とツバサで教室清掃するから、ルナはプリントを配布してくれ。」
はーい。
ルイが窓際に置いてあるプリントを指さす。
え、待って…
50人分のプリントだけだよね?
軽く200枚はありそうだけど…
「日を分けてプリント配布が何回かあるんだ。できそうだったら、全部配ってくれ。」
おぉ、ジーザス…
とりあえず、今日のノルマから配るか…
この世界は、『後ろに回して。』の概念がないため、1人ずつ配る。
やっても良かったけど、伝わらないとめんどうだから、やめた。
話しかけるのもなんか怖いし…
私は無言で1人ずつ配る。
席に人がいないところは、めちゃくちゃ配りやすかった。
だけど、何人かでお話しているところは、めちゃくちゃ怯えた。
「あの、プリント…」
無言で置けそうになかったから、話しかけてみた。
「ありがとう。でね、あそこのカフェに今度みんなで行かない?」
一言お礼を言って、すぐ話に戻っていった。
優しい人だ…
「あの、プリント…」
「ってことがありまして…」
「キャー、素敵!」
って感じで、無視されるところもあった。
怖い…
そんな感じで、休み時間の間に2日分のプリントを配り終えた。
あと2日分くらいありそう…
「ルナ、どの辺まで配れた?」
「2日分終わったよ。そっちは?」
「教室の清掃は全部終わった。」
おぉ、すごいじゃん!
「そしたら、プリントはあと2日分か…3人でやれば終わりそうだな。今やるぞ。」
授業まであと10分もなかった。
「ツバサは遅れるといけないから、教室戻りな。」
「ルナともうちょっと一緒にいたいから、俺も配る。」
ということで、ツバサと一緒にプリントを配っていくことになった。
「どうぞ。」
ツバサは置くときに一言添えていた。
「ありがとうございます。」
みんなニコッと笑って受け取っていた。
すげぇ…
こうやって配るのか…
「どうぞ。」
「ティートル公爵様!?ありがとうございます。」
先程、私を無視してきた女子生徒もお礼を言っていた。
これが私とツバサの違いか…
こうして、休み時間の間に4日分のプリント、全て配り終えた。




