201話
お昼休み。
今度はツバサが1人でやってきた。
だから、2人で食堂へ行く。
「はぁ…もうちょっとで、ルナが俺以外の男とデートする…」
ツバサはケモ耳を限界まで垂れさせて、悲しそうにしている。
「大丈夫だよ。私、あの3人の中だったら、アルス先輩が1番苦手だもん。」
ルイとシルクは友達になったことで、愛情より友情を感じて、嫌悪感はなくなっていた。
しかし、アルスだけはそうじゃなかった。
スティというかわいい婚約者がいるのにも関わらず、愛想を振りまきまくっているのが気に食わない。
「でも、万が一ってことが…」
「絶対にありません。」
「ほんとかな…」
なんで、こんなに疑ってくるんだ?
「ツバサは、私のこと信じてくれないの?」
「信じてる!信じてるけど、不安なんだもん…」
なるほどね…
「絶対に大丈夫。ね?」
「うん。」
ツバサはニコッと笑ってくれた。
そして、放課後。
「じゃあ、初日は僕だね。」
アルスが教室まで迎えに来てくれた。
アルスが私の手を取って、嬉しそうにしている。
「スティが悲しみますよ。」
「あはは。そうだね。」
絶対わかってないだろ…
「さ、行こ。」
はぁ、仕方がない…
私たちは手を繋ぎ、歩き出す。
「アルス先輩もやる意味、ありましたか?」
この1日限定デートは、ルイとシルクが私を落とすためのもの。
スティと幸せそうなアルスがやる必要ないんじゃない?
「えぇ、おもしろそうだからいいじゃん。それに、練習しておいた方が良くない?」
練習?
「こういうの慣れてないでしょ?」
アルスは私の手の甲にキスをする。
「ちょっ!」
「ほら、顔真っ赤だよ?」
コイツ、絶対おもしろがってるだろ…
「早く行こ。」
アルスは私の手を引いて、走り出す。




