175話
翌朝。
寮を出ると、ツバサが駆け寄ってきて、思いっきり抱きしめてきた。
「ルナ、おはよう。大好き!」
「どうしたの?」
「えへへ。昨日の夜、嬉しかったからお返し!」
ツバサはすごく嬉しそうにしている。
「わかったから、離れて。早く行くよ。」
「えぇ…もうちょっと。」
全くもう…
「ルナ。」
「ん?」
「大好き!」
「はいはい。」
私はツバサの頭を撫でる。
ツバサはシッポをすごい勢いで振っている。
やっぱり、ワンコだ…
「ほんとに遅刻するから、早く行くよ。」
「はーい。」
ツバサは名残惜しそうに離れた。
「じゃあ、腕組も!」
ツバサは腕を軽くまげて、キラキラした目を向けてくる。
「嫌だ。ほら、行くよ。」
私はツバサの手を取って、早歩きで行く。
「えぇ、ルナ冷たい。」
ツバサは不満そうにしている。
「昨日はあんなに甘えてくれたのに…」
こっちはテストがあるんだよ!
「テストが終わったらね。」
「あ、そっか!ごめん、昨日のが嬉しすぎて忘れてた。」
全く…
「ルナ、頑張れ!」
ツバサは今日も少し手を強く握って、パワーをくれる。
「ありがとう。ツバサはまた図書館?」
「うーん、どうしよう…終わったら、とりあえず教室まで迎えに行くね。」
「わかった。待ってるね。」
教室まで送ってもらい、ツバサはすぐに帰って行く。
今日もみんな1人で勉強している。
私も見直ししよ。
でも、物語読解って何を見直せばいいんだ?
まぁ、やらなくてもいっか。
不安な魔法数学の公式を頭に入れてよ。
「はい、教科書をしまってください。テストの準備をします。」
先生がやってきて、指示を出す。
生徒たちは急いで教科書をしまい、準備をする。
そして、テスト用紙が配られていく。
今回は、物語が書いてある用紙と、問題と解答が一緒になった用紙の2枚。
「始め!」
先生の号令で、一斉にテスト用紙をめくる。
とりあえず、物語を読んでいく。
え、待って…
超良い話!
切ない恋愛モノなんだけど、とにかく彼女が良い子すぎる。
泣きそうなんですけど…
私は必死に涙を堪えて問題を解いていく。
「やめ!」
先生の号令で、テストが終わる。
「回収しますので、テスト用紙を裏返してください。」
先生が問題と解答が一緒になった用紙だけを1枚ずつ回収していく。
「物語の用紙は持ち帰るため、カバンにしまってください。それでは、10分の休憩をはさみます。時間は必ず守ってください。」
先生はそれだけ言って、教室から出て行った。
はぁ、良い話だった…
って、次の勉強しないと!
公式は大丈夫だから、とりあえず解き方が不安な問題の確認をしておこ。
応用だから、ややこしい問題集が多いんだ…




