16話
今日も寝る前に起きたことを書き出す。
えぇと、今日出会った攻略対象は、ルイとシルクとアルス。
スティがアルスの婚約者。
サイモンさんはラナさんのいとこ。
これくらいかな?
あと、私は光属性の魔力20!
スティと寮に帰る途中でサイモンさんに捕まって、また反復練習させられたんだ…
本当に疲れた!
でも、そのおかげで20まであがったよ。
大量のポーションも飲んだよ。
サイモンさん曰く、光属性の完全習得には時間がかかって、その分ポーションの量も増えるらしい。
もうちょっと魔力があがれば、ポーションの数も減るみたい。
だから、「魔力1あげるのにポーション3個になるまで、毎日放課後に反復練習するよ」と圧をかけられた…
サイモンさん、笑顔で怒るタイプだと思う。
はぁ、これから毎日怒涛の激務におわれるのか…
頑張ろ…
翌日。
昨日と同じく、女子生徒の騒ぐ声で目が覚める。
今日もか…
朝の支度をし、寮をでるとアルスがいた。
やっぱり、お前の仕業か…
「ルナちゃん!おはよう。」
おぉ、デジャブ…
もう少し遅くても大丈夫な時間帯だから、寝ていたかった。
なのに、アルスのせいで眠れない。
「ルナちゃん!一緒に学校行こ?」
鋼の心なのか?
他の攻略対象より冷たく接している自覚あるよ。
「あの、私はアルス先輩と登校はできません。明日からは、もう来ないでください。」
アルスはうっとりとした顔をしている。
この人、この顔しかできないのか?
「やっぱり、君は素敵な女性だ。謙虚で丁寧で素晴らしい。」
褒められても全く嬉しくない!
「朝から騒がしいですよ。」
アルスを遠巻きに囲む女子生徒の後ろからシルクがやってきた。
「って、アルス王子…何やってるんですか…」
シルクは呆れた顔をしている。
「あぁ、シルク王子!大好きな子を迎えに来ただけだよ?」
やめてくれい。
シルクはゆっくりこちらを見て、びっくりしている。
「わぁ、ルナちゃん。アルス王子に好かれるなんて、不憫すぎる…」
可哀想な目で見られた。
本当にやめてくれい。
「好かれてないです。好かれたくもないです。」
しっかり否定する。
「えぇ、なんで!この僕が好きって言ってるんだよ!?あ、好きって言っちゃった…」
この人、情緒不安定か?
「アルス…様…」
寮の入口にスティが立っている。
私の視線に気づき、走って逃げだす。
目には涙が見えた。
なんで!?
「ちょっと、スティ!」
私も走って追いかける。
なんで泣いてるの?




