168話
「はい、じゃあ今日の練習も終わりです。ちょっと過激だったから、ゆっくり休んでください。以上。」
今日は魔力測定をしないみたい。
毎日やっても、そんなに変わらないからかな?
「ルナ、疲れたね。俺の部屋くる?」
ツバサが手を繋ぎながら、話しかけてきた。
文脈…
「行かないよ。早く帰ろ。」
日もくれて、少し暗くなってきているし。
「ちぇ。じゃあ、ゆっくり帰ろ。」
話聞いてくれ…
「なぁ、ツバサ。ちょっといいか?」
ルイが遠慮がちに、ツバサに話しかける。
「なに?」
「あっちで話してもいいか?」
ルイは少し遠くの方を指さした。
私に聞かれちゃダメな話ってこと?
「いいよ。ツバサ、待ってるから行っておいで。」
「はーい。ルイ、早く行こ。」
ツバサはルイの手を引いて、私から離れていく。
また口止めされてる件についてとかかな?
てか、どんだけ口止めしてるんだろう…
あぁ、でも孤立についてだけか?
他にもしてそうな気はするけど…
私はグラウンドに座って、ツバサとルイのやり取りを見守る。
途中からシルクとアルスも合流し始めた。
えぇ、なんだろう?
あ、アルスと友達になろうとしてるのかな?
それだったら、私がいても問題はないし…
ちょっと揉めてる感じもするな。
ツバサは1人で走って戻ってきた。
「ルナ!帰ろ。」
そのまま強引に私の手を引いて歩き出した。
「え、ツバサ?話って、なんだったの?」
「教えない!」
なんかちょっと怒ってる?
「ツバサ、どうしたの?」
「どうもしない!」
えぇ…
どうしよう…
ツバサは私の少し前を早歩きで歩いていく。
ツバサにとっての早歩きのスピードだから、私にとっては駆け足。
つ、つかれてきた…
「ツバサ、もうちょっとゆっくり帰ろ?」
ツバサは急に立ち止まる。
「どうしたの?」
「ルナ、俺のこと好き?」
急になんだ?
「好きだよ。」
「本当に?」
めんどくさ…
「本当だよ。」
私はツバサの頭を撫でる。
「ありがとう…」
ツバサは少し悲しそうな顔をして笑った。




