166話
「いいから、始めるよ。ツバサ、敵お願い。」
「はいよ。」
ツバサは昨日同様、ゆっくり動く敵を氷で作ってくれた。
「わぁ、なんだよ。こいつら…」
クララくんは嫌そうにしている。
「敵に魔法を当てる練習だよ。ツバサの氷魔法だから、害はないよ。」
「そうなんだ…片っ端から倒していけばいいわけ?」
「そう。」
「はぁ、仕方がないな!」
クララくんは勢いよく魔法を放っていく。
「よっと。」
たまに土をポコっとさせ、敵をころばせてから倒している。
なんか、かっこいいね…
「ねぇ、コイツら弱すぎね?もっと強くしてよ。」
クララくんは、飽き飽きしているようだった。
「ルナ、それでいい?」
ツバサは私に確認してくれる。
「いいよ。」
「はーい。」
ツバサは敵に手を向け、調整している。
「これくらいでどう?」
敵が少し早く動くようになった。
「えぇ、まだこんなもんなのか?もっと強くして。」
クララくんは、ツバサを挑発している。
「まだ全然強くできるし。」
ツバサはムッとしながら敵に手を向け、調整していく。
「まだ弱いな。」
「うるさい…」
「よっわ!」
「黙ってろ…」
ツバサは、不機嫌になっている。
クララくんも挑発をやめない。
「ルイ、どうしよ…」
「とりあえず、危ないからこっち。」
私はルイに手を引かれて、木陰に隠れる。
ツバサは、私たちが移動したことに気づいていない。
「クララ、うざい!」
「弱すぎるのが悪いんだろ!」
2人はまだ争っている。
一応、クララくんはツバサがつくった敵に対してしか攻撃していないから、安全そうではある。
だから、サイモンさんも静観している。
「これ、いつ終わるかな?」
「2人が満足するまでじゃないか?ツバサは大丈夫だろうけど、クララってどれくらいなんだろうな?ずっと魔法打ちっぱなしだけど…」
ルイは心配そうに見ていた。
あぁ、魔力切れを心配してるのか。
学年上位の成績だから、そこそこ高いんだろうけど…




