162話
「ねぇ、ルイは知ってた?」
私は隣で黙って聞いていたルイに声をかける。
「あぁ…これも口止めされてたけどな。」
ルイは複雑そうな顔をしている。
「また口止めされてたの?」
「『ルナを守るためだから。』なんて言われたら、黙っているしかないだろ?」
きっと仔犬のような目で、ルイの良心に訴えたんだな…
「いつの話?」
「ルナにバレた次の日くらいかな…」
結構最近…
「ティートル公爵様の影響力はすごいのね。」
ピラナは関心していた。
「ピラナは、ツバサが口止めしてきても言うこと聞いちゃダメだよ?」
「自信ないわ…私も『ルナを守るためだから。』なんて言われたら、黙っていそう…」
みんな良い子すぎるよ…
ツバサに脅しは良くないことって教えないと…
「でも俺、ツバサが建国したいように思えないんだけど…」
それはたしかにそう。
私の部屋で、国王会議に参加したときの話を軽くしてくれたけど、あんまり印象良くなかったみたいだし…
「ルナの孤立をなくすための嘘ってこと?」
ピラナが腑に落ちない表情をしている。
「有り得なくはない話だろ?」
ツバサならやりかねない…
「でも、現王国の国王様とか偉い人の耳に入ったら、大変じゃないかしら?ティートル公爵様がそこまで考えていないわけないだろうし…」
それもそうなんだよな…
「直接聞いてみるしかないのかもね。」
「でも、今は忙しいんだろ?」
そうなんだよね…
「ツバサ、聞こえる?」
私はイヤホンのようなモノを耳につけ、盗聴器に向かって話しかける。
「ルナ、何しているの?」
ピラナが不思議そうにしている。
「ツバサと会話できるかもしれない。ちょっと待ってて。」
『ルナ、ごめん。話聞いてたよ。お昼休みに説明するね。』
ツバサは急いで返事だけしてくれた。
他に、ガヤガヤと賑わっている音がした。
学園の外にいるのかな?
「わかった。頑張ってね。」
私はそれだけ伝える。
「ツバサがお昼休みに説明してくれるって。」
「どうやってわかったの?」
ピラナは興味津々のようだ。
「この首輪、ツバサがつくってくれたモノなんだ。こっちの音が全部、ツバサに聞こえるようになっているの。」
「え、今の会話も全部、聞いていたってことなの?」
ピラナは少し嫌そうな顔をした。
「そうだね。でも、ツバサの悪口とかは言ってないし、基本的に気にしないタイプだと思うから、大丈夫。」
「そういう問題じゃなくて、ルナにプライベートがないことが問題なのよ。常に監視されているのと同じよ?」
あんまり考えたことなかったや…
「ツバサになら、聞かれても良いかなって思っているのかも。だから、気にしたことないかな。」
「ルナがそれでいいなら、私はもう何も言わないけど…嫌になったら、ちゃんと伝えるのよ?」
「心配してくれて、ありがとう。」




