156話
お昼休み。
「ルナ!食堂行こう。」
ツバサが元気よく扉を開けて登場した。
もちろんみんなから注目されたが、『またか。』と思った人が多かったのかすぐに戻った。
「ふつーに来ていいよって言ったでしょ…」
「えへへ。早く行こ。」
ツバサは楽しそうに私の手を取って歩き出した。
「何か良いことでもあったの?」
「うん!」
ツバサは嬉しそうにしている。
「何があったの?」
「後で教えてあげる。」
もったいぶるな…
それぞれ注文し終え、席に着く。
「それで、何があったの?」
「えへへ。実はね、ルナの退学がなくなったんだ。」
ん?
「嬉しいけど、なんで知ってるの?」
てか、まだ確定ではなかったし…
「ルナの教室に向かってるときに、先生に呼び止められてさ。最近、頑張って勉強してたでしょ?授業態度も褒められてたよ。」
ツバサは嬉しそうに報告してくれている。
「そっか…テストの点数が悪くても、退学にはならないってこと?」
「うん!」
ほぉ…
それは安心だ。
「これで、ずっとイチャイチャできるね。」
「たまには勉強もするよ?テストも近くなってきたし。」
「えぇ、しばらくお休みしよーよ。」
ツバサは不満そうだった。
「また退学になりかけたら困るからね。適度に勉強するよ。」
「はーい。」
私たちはお昼を食べ終え、教室へ戻る。
「あ、ルイ!聞いて。」
私は教室に入るなり、ルイに近寄る。
「おぉ、ルナ。どうした?」
ルイは教科書から目を離して返事をしてくれた。
「あのね、私の退学なくなったの。」
「良かったじゃん!最近、頑張ってたもんな。」
ルイは自分のことのように喜んでくれている。
「ありがとう。」
「ルナ、ルイと仲良くしすぎ。俺のこと、忘れてない?」
ツバサは少し不機嫌になりながら、後ろから抱きついてきた。
「忘れてないよ。ただ、ルイとは一緒に勉強することも多かったし、報告しないと。」
「あはは、ありがとう。あ、ツバサ。ここわからなくてさ…」
「えぇ、どこ?」
ルイはツバサにわからないところを質問している。
もしかして、待ってたのかな?
「なるほどな。やっぱり、ツバサ教えのうまいな。」
「ルイも上手だったよ?」
「待って、いつ教えてもらったの!?」
ツバサはびっくりしている。
「昨日の休み時間かな?ツバサが戻ってこなかったから、ルイに聞いたの。」
「ルナの先生は俺なのに…」
ツバサは悔しそうにしていた。
別に誰に聞いてもいいやん…
「そう言ってもらえると、俺は嬉しいよ。」
「ルイ国王様、ファイト!」
「ねぇ、なんで俺がいない間にもっと仲良くなってるの…やだぁ…」
ツバサはシュンとしている。
「元々、ルイとは仲良かったよ。ねぇ?」
「おう。ルナとは親友だもんな。」
親友って言ってくれるの嬉しい…
「俺のルナだからね。取っちゃダメだよ!」
ツバサはルイにちょっと怒っている。
「どうだかな?」
ルイは意地悪そうに笑った。
楽しそうで良かった。




