14話
「申し遅れた。私は『フラージア王国』の魔法局に務めているサイモン・コモスだ。」
ん?
コモス?
コモスって、あのヤンデレ宰相のラナ・コモス!?
「あ、あの!ラナ・コモスをご存知ですか?」
「ん?ラナは私のいとこだよ。」
まじか!!
「私、ラナさんに会いたくて…どうしたら、会えますか?」
興奮気味に乗り出す。
「ラナの知り合いかな?じゃあ、私じゃなくてラナが来た方が良かったかな?」
「あぁ、ごめんなさい。知り合いってわけではなく、ただ一方的に知っているだけでして…」
「ふーむ。ラナが他国の人に知られるようなことをしたかな?」
なんで知ってるかなんて、言えないよ。
だって、ゲームの好きなキャラです!なんて、変な子って思われちゃう。
全力で濁すしかない。
「え、えっと。街で1度お見かけして、それでもう1度お会いしたいなと!」
ちょっと無理があるかな?
「なるほどな。よく買い出しに行ってるから、そのときに会ったのだろう。今度、ラナも連れてくるよ。」
やったぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
「でも、今日は私だから。何個か質問させてもらうね。」
「はい!」
ラナさんに会える〜!
いつかな、明日とか!?
「では、以前に魔法を使ったことはある?」
「いえ、ないです。」
その後も魔法について、質問され続けた。
光魔法は知っていたかとか、親族に使えるものはいるかとか、家族が魔法を使っているところを見たことあるかとか。
「なるほどなるほど。では、最後に『フラージア王国』に行ったことはあるか?」
「ないです。」
幼少期の頃の記憶は曖昧だけど、多分ないはず。
「あれ?じゃあ、ラナをどこで見たんだ?『ミンフィーユ王国』に行くようなことあったかな…」
や、やばい。
誤魔化さないと。
「えっと、もしかしたら子供の頃に行ったことあるかもしれません。どこで会ったか、あまり詳しく覚えていなくて…でも、ラナさんにもう1度会いたいのは本当です!」
最後をしっかり強調しておいた。
「ラナに会いたいのは充分わかったから。『フラージア王国』に行ったことはあるの?ないの?」
うぅ…
どうしよ。
「わかりません…」
誤魔化そうと思うと、矛盾がうまれる。
結果、こういう答え方しかできない。
「はぁ。まぁあんまり関係ないかもしれないから、大丈夫だよ。」
「ごめんなさい。」
ラナさんに会いたいがばかりに、自分の欲を優先しすぎた。
これは反省だ。
「大丈夫だから。それより、時間取らせちゃって悪いね。早く戻って、ご飯食べて元気だしな。」
時計を見ると、授業まであと20分もなかった。
やばい!
私のお昼ご飯!!
「すみません、失礼します。」
そう言って、この場を走り去る。
お腹空いたよ~。
 




