149話
休み時間。
いつも通り2人で勉強する。
「ルナ、できるようになってきたね。」
ツバサはよく褒めてくれるようになった。
ちなみに、今日はミンフィーユ王国の歴史をやっている。
ゲーム知識プラス自国で、そこそこ解ける。
「ルナが退学しなさそうで、本当に良かったよ…」
結婚するから大丈夫とか言って、本当は心配しててくれたのか。
「全部ツバサのおかげだよ。ありがとう。」
私は机にうなだれているツバサの頭を撫でる。
「えへへ。お礼も楽しみだし、最近良いことばっかりだね。」
ツバサは嬉しそうにしていた。
「そうだね。」
「ツバサ、大変よ!」
勢いよく教室の扉が開き、アカリ先輩がやってきた。
「チッ、邪魔が入りやがった…」
ツバサはとても嫌そうな顔をした。
言葉遣い悪いよ…
「アカリ先輩、どうしたの?」
「あぁ、ルナちゃん。勉強の邪魔してごめんね。ちょっとツバサ借りるよ。」
アカリ先輩は、ツバサの腕を引っ張る。
「いーやーだ!俺はルナと一緒にいるの。」
ツバサは机に張り付いて動こうとしない。
「良いから、来てちょうだい。私たちの約束が危ないの。」
アカリ先輩の言葉にツバサはピクっとした。
「どういうこと?」
ツバサは真剣な顔をして、アカリ先輩に尋ねる。
「ここで話せるわけないでしょ。ほら、行くわよ。」
「わかった。ルナ、ごめんね。なるべく早く戻ってくるから。」
そう言って、ツバサとアカリ先輩は教室から出て行ってしまった。
約束って、あれだよね?
私を危険な目に合わせたくないツバサ、魔王を封印させたくないアカリ先輩の利害が一致した。
それが危ないって、どういうことだろう?
気になるな…
でも、今は勉強するぞ!
1人でも頑張らないとね。
よーし!
私は、順調に問題集を解いていく。
しかし、1問だけわからない問題があった。
今ツバサはいないし、どうしよう…
「ねぇ、ルイ。」
私は隣のルイに話しかける。
「なんだ?」
「ここの問題がわからなくて、教えてもらっていい?」
「おぉ、いいぜ。えぇと、これは俺のお祖父様の時代の話だから、40年前くらいかな?」
歴史にしては、最近の出来事だね。
「この時代って雨が降らない時期が結構あったんだ。」
そうなんだ。
「だから、食料があまり育たなくて、飢饉になりかける。」
ふむふむ。
「で、各地に種をまいたんだ。」
なんで?
「ミンフィーユ王国って、他の王国に比べて広いだろ?だから、どこかの地域では育つだろうって思ったんだって。」
なるほどな。
「それで、雨が降らなくても種が問題なく育った地域を見つけたんだ。」
良かったね。
「それが、クララが住んでいる地域だよ。」
そうなの?
クララって、地方の子なんだ。
「だから、ここの答えは『種を各地にまいた。』が正解かな。」
なるほど。
「ありがとう。すごくわかりやすかったよ。」
「良かった。」
ルイはニコッと笑ってくれた。
「お互い頑張ろうな。」
「うん!」
結局、休み時間の間にツバサは戻ってこなかった。




