145話
「待たせたな。」
魔王は両手いっぱいにお菓子の袋を抱えて戻ってきた。
多い多い!
「ごめんなさい。私たち、この量の荷物を持って帰れる気がしなくて…」
「あぁ、それなら、我の転移魔法で少しずつ送ろう。」
やったぁ。
こういうとき、便利だよね。
「じゃあ、遅くならないうちに私たちは帰りますね。」
「あぁ、では先に君たちを送ろう。」
魔王は私たちに手をかざし、転移魔法で上に移動する。
「ルナちゃん!ツバサ!おかえりなさい。遅かったわね。」
気づくと、あの地下へ続く階段の出入口にいた。
「ただいま。魔王様がアカリ先輩に返事を書いてて、それを待っていたら遅くなりました。」
「私に返事を書いてくださったの…」
アカリ先輩はびっくりして、目がまん丸になっている。
「どこ?どこにあるの?」
アカリ先輩は早く読みたいようで、迫ってくる。
「転移魔法で送ってもらってます。もうちょっとかと…」
「アカリ近い。やめて。」
ツバサはアカリ先輩の首根っこを掴んで、離してくれた。
そんなことをやっていると、続々とお土産が転移されてくる。
「重っ!」
アカリ先輩は自分のカゴを持って帰ろうと、持ち上げた。
「なに入ってるのよ…」
「魔王様からの手紙です。」
「これが!?宝の山だったのね。」
アカリ先輩は嬉しそうにカゴを抱きしめた。
「私たちも運ぼうか。」
「そうだね。アカリ!とりあえず、アカリの家に持っていけばいい?」
「はーい。」
私たちは大量のお土産をアカリ先輩の家に運んでいく。
1つ1つは小さいけど、集まるとすごく重い…
「ルナ、大丈夫?俺が代わりに持とうか?」
隣で運んでいるツバサが気にかけてくれている。
「大丈夫。ツバサだって、重いでしょ?」
「うん…少し休憩してから、行く?」
「大丈夫。早く帰らないと、寮の門限に間に合わないかもしれないから。急ご。」
寮の門限まで、あと1時間。
15分で学園に着くとはいえ、このお土産を寮まで運んでいたら、結構ギリギリかもしれない。
「2人とも!この子に積むと潰れちゃうから、このカゴに入れてちょうだい。」
アカリ先輩が、人が2人分体育座りできそうな大きなカゴを用意してくれた。
「持ち上げられるんですか?」
「それは余裕よ。重さはあんまり感じないの。ねー!」
アカリ先輩は使い魔を優しく撫でた。
いいな…
やっぱり、私も使い魔ほしいかも…
「ルナには俺がいるでしょ。」
荷物を入れ終わったツバサが、何かを察したかのように後ろから抱きついてきた。
よしよし。
ツバサは嬉しそうに撫でられている。
「ほら、そこ!イチャつかない!帰るよ。」
アカリ先輩に怒られてしまった…
ツバサは私をお姫様抱っこして、使い魔に飛び乗った。
「じゃあ、帰るわよ。」
そのまま、ゆっくり飛びだった。




