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144話

さっきよりも早く最奥にたどり着く。

魔王はゆったりくつろいでいた。

「おぉ、遅かったな。そこに座りたまえ。」

おもてなしの準備もしていてくれたみたいで、私たちは並んでソファーに座る。

「これ、アカリ先輩からです。」

「アカリから…何だろう。」

魔王は嬉しそうにカゴの中身を出している。

「これは…私の大好きなマドレーヌではないか。それにコーヒーも…」

魔王は感動している。

「しかも、手紙まで!我も返事を書かなくては…」

魔王は、私たちのことをほっといて、手紙を夢中で書いている。

まぁ、これで良かったのか?

「これ、食べてもいいかな?」

ツバサは、魔王が出してくれたお菓子とお茶が気になるみたいだった。

「私たちに出してくれたんだし、食べて待ってよっか。」

「うん。」

ラングドシャと暖かい紅茶を遠慮なくいただく。

うまっ!

「ルナ、これめちゃくちゃ美味しいね。」

ツバサも喜んで食べている。

「待たせたな。これを頼む。」

魔王は、アカリ先輩が持たせてくれたカゴに手紙を入れて、渡してきた。

「お預かりします。」

汚れないように、自分の横に置こうと持ち上げる。

重っ!

え、待って…

なんで手紙しか入っていないはずなのに、こんなに重いの?

魔王は満足そうに、ニコニコしている。

「毎週お願いしてもいいか?」

毎週…

ふつーに嫌だ…

「ごめんなさい。ルナ、結構勉強が危うくて。毎週来てる時間はないです。」

ツバサが断ってくれた。

まぁ、勉強がやばいのも事実だけど、言わなくていいじゃん…

「そうか…学びは大切だからな。2週間に1回はどうだ?」

「それもちょっと…とりあえず8月のテスト終わってからでいいですか?」

ツバサが申し訳なさそうに断る。

「そうか…わかった。楽しみにしておるぞ。」

魔王は少し残念そうにしている。

バカでごめんなさいね…

「それより、我が作ったラングドシャは美味いか?」

え、これ魔王手作りなの!?

「はい、とっても美味しいです!」

「そうかそうか。なら、お土産を包むから待っていてくれ。」

そう言って、魔王はどこかに行ってしまった。

え、これ以上荷物が重くなるの?

でも、もっと食べたい…

「ツバサ、私と荷物、一緒に持ち上げられそう?」

「もちろん。ルナは羽のように軽いから、余裕だよ。」

ツバサはドヤ顔で答える。

そう言ってもらえると、助かるよ。

「試しに、荷物だけ持ってみて。」

「はーい。」

ツバサが荷物を持ち上げようとしている。

持ち上げようと頑張ってはいるが、持ち上がらない。

「え、重くない?ルナよく持てたね…」

私もびっくりしたよ。

「これにお土産のお菓子がプラスされるんだけど…」

「えぇ、大丈夫かな。俺、持てる自信なくなってきた…」

ツバサはシュンとしてしまった。

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