137話
私とツバサはグラウンドの隅っこに移動して、練習を始める。
「とりあえず、なんでもいいから魔法出してみて。」
なんでもいいのか…
私は手のひらを上に向けて、光の玉を出す。
「ルナ、全力でいいよ。危なくなっても、なんとかできるし。」
ツバサは、私が遠慮していると思っているみたい。
全く違います。
これが全力です…
「ごめん。私、これしかできないの…」
「え、うそ…」
ツバサは信じられないといった顔をした。
「まぁ、ルナはミンフィーユ王国出身だもんね…うん、大丈夫大丈夫!将来は、俺と結婚するもんね。」
ツバサは自分に言い聞かせている。
そんなにやばいんですか?
「氷魔法もやってみてよ。」
ツバサにもらったやつか?
私は手を前に伸ばして、雪だるまをつくるイメージをする。
すると、私の腰くらいの高さの雪だるまができた。
「うん、やっぱりこっちの方が性能高いね。」
「試験は、氷魔法の方がいいかな?」
「それはダメ。ルナは光属性しかないって思われてるんでしょ?いきなり、光属性が使えない魔法を使いだしたら、怪しまれちゃう。」
あぁ、そっか…
「まだ間に合うはずだから、頑張ろう?」
はーい。
「ルナに足りないのは、イメージ力だと思うんだよね。」
それ、ずっと言われてるよ…
そんなにイメージできてないのかな?
「魔法使うとき、何考えてる?」
えぇ、なんだろう…
「少年漫画の戦闘シーンとかかな?」
「それ、魔法使って戦うタイプの?」
「拳かな…」
元々、格闘ゲームが好きだったからね。
拳と拳でぶつかり合うの!
「それじゃあ、ダメでしょ…せめて、魔法を使って戦うのを思い出して。」
うーん…
魔法使って戦う漫画なんて、あったっけ?
あんまり、そういうの読んでこなかったな…
「この間の魔法決闘を思い出してやってみたら?」
ツバサは、私が考え込んでいるのを見て、アドバイスをくれた。
そっか。
あれならわかりやすいかも。
私は、アルスとミアの決闘を思い出す。
たしか、こんな感じの魔法出していたような…
手を前にだして、思いっきり魔法を発射する。
綺麗な放物線を描いて、いつもより遠くに落下した。
「そう!そんな感じ!」
ツバサは、びっくりしながら喜んでいる。
「こんなすぐにできるようになるとは、思わなかったよ。ルナすごい!天才!」
そんな褒められると、さすがにちょっと照れるよ…
「ありがとう。イメージの仕方、なんとなくわかったかも。」
「良かった。これで、実技試験も大丈夫そうだね。」
ツバサは安心してくれたみたいだった。
「あ、でも練習は続けるよ?」
さすがにやめようとは思ってないよ。
「ツバサ先生、これからもよろしくお願いします。」
「はーい!」




