133話
私は集まっている女子生徒たちに向けて、仲良くなる方法を伝授する。
「まず、ルイは対等に接してほしいって言ってたよ。」
「もっと具体的にお願いしますわ。」
メモを取ったり、積極的に質問したり、みんな真剣に聞いてくれた。
「とにかく、同世代の男の子として扱ってほしいみたい。」
「なるほど…」
「次、シルク様お願いしますわ!」
「シルク先輩は…」
どうすればいいんだ?
ルイは直接聞いたから知っていたけど、シルクは聞いたことないや。
「とりあえず、ルイと同じかな?でも、私たちより1学年先輩だから、敬意は大切にね。」
敬語使わなかったら、注意されたしね。
「先輩後輩の関係を大事にされているってことかしら?」
多分、そんな感じ?
「アルス様は?」
「アルス先輩は…」
1番わかんないかも…
「アルス先輩は、今婚約者のスティに夢中だから、そっとしておいてあげて。」
「でも、お近づきになりたいわ…」
えぇ…
なんかあったっけ?
「笑顔が素敵な子が良いって言ってたよ!」
私は頑張って振り絞って答える。
「お話するときに、ニコニコ笑っていれば良いと思う!」
「なるほど…今以上に笑って挨拶しましょ。」
ふぅ、なんとか乗り切った…
「ミア様は、どうすれば良いんでしょうか?」
ミア?
ミアねぇ…
スティの特徴を言っとけばいっか?
「優しくて、笑顔がかわいくて、謙虚な子が好きみたい。」
あ、でも最近はルイか…
「とにかく、優しい子を目指して。」
「なるほど…優しさね。」
ふぅ、こっちもなんとか乗り切った…
「ルナさん、ありがとう。私、頑張るわ。」
1人の女子生徒が私の手を取って、お礼を言う。
「力になれて良かったよ。頑張って。」
私はその場を立ち去ろうとする。
「あ、婚約者の座を目指しているなら、アルス先輩は絶対にダメだからね。さっきも言ったけど、スティに夢中だから。奪おうとか考えちゃダメだからね。」
私は、念の為釘を刺しておく。
「わかりましたわ。」
みんな良い子だ。
私はツバサの元へ急いで戻る。
ツバサは、広場のすぐ後ろの木の根元に座っていた。
「ツバサ、ただいま。」
「おかえり。平和な会だったね。」
やっぱり、聞いてたか。
「うん、みんな真剣に聞いてくれて嬉しかった。」
「そっか。良かったね。」
ツバサは、ゆっくり立ち上がって私を抱きしめる。
「はぁ、俺はルナ不足になっちゃったよ…」
何言ってるんだ?
とりあえず、ツバサの頭を撫でておく。
「ルナ…1限サボらない?」
「先生と今後全ての授業に出るって約束したの知ってるでしょ?ほら、早く教室行くよ。」
「うぅ、もうちょっと…」
ツバサは少し力をこめて、抱きしめる。
「早く離れて。遅刻する。ツバサのせいで退学になる!」
「はーい。」
ツバサは仕方がなさそうに離してくれた。




