121話
「ルナ、もう目開けて大丈夫だよ。」
ツバサに声をかけられる。
やばい、ガチで寝そうになってた。
目を開けると、部屋の真ん中に座っていた。
「ここ、どこ?」
「俺の部屋だよ。」
は?
「2人きりになれる場所ってどこだろって考えたんだけど、やっぱり自分の部屋かなって…」
ツバサは照れながら説明してくれた。
説明してくれたけど、全く意味がわからない。
「届出が必要とか言ってなかったっけ?」
「あぁ、いるよ。でも、1回提出すればいいんだ。」
そうなんだ…
じゃあ、別に悪いことはしてないのか。
私は部屋の中を見回す。
なんか頭良さそうな図解がいくつか壁に貼ってある。
あとは、普通の男子学生の部屋って感じかな。
「ルナ、恥ずかしいからあんまり見ないでよ…」
ツバサは少し照れている。
まぁ、そうだよな…
って、まだお姫様抱っこしてたの!?
「ツバサ、降ろして。この体勢の方が恥ずかしいよ。」
「えぇ、くっついてよーよ。」
ツバサは顔を近づけてギュッとしてくる。
やめい、暑苦しい。
「降ろして。」
「はーい…」
ツバサは仕方がなさそうに降ろし、自分の足の間に座らせ、後ろから抱きついてきた。
「ふぅ、これならいいよ。」
良くないわ!
「離れて。」
「ルナ、冷たいよ…」
ツバサは悲しそうにシュンとした。
あぁ、耳とシッポが垂れ下がっちゃっているよ…
私はツバサの横に座り直し、肩にもたれかかる。
この体勢が1番ちょうど良いかもしれない。
「なんだ。ルナが俺にくっつきたかったのね。もう、そう言ってくれれば良いのに。」
全く違うが、まぁ拡大解釈したらそうなるか。
やっぱり、この方が落ち着くや。
「ねぇ、ルナ。アカリにはあまり近づかないでね。」
男の次はアカリ先輩って…
そんなに警戒する必要ある?
「あの態度、ちょっと異常じゃなかった?」
ツバサが言うな。
「いきなり抱きついてきたり、くっついて来たりさ。俺、すごい嫌だった。」
ツバサはちょっと怒っているみたいだった。
まぁたしかに、出会って今日で3回目くらいだよな?
距離感詰めるの早すぎる気もするけど…
こんなもんじゃないかな?
スティたちとも、すぐ仲良しになったし。
でも、女の子に対して威嚇するのも珍しいし…
「わかった。ツバサと一緒のときにしか会わないようにするね。」
「うん、ありがとう。」
ツバサの気のせいかもしれないし、大丈夫だろうけど、一応ね。




