118話
「クライス様がもうすぐ復活するみたいだから、会いに行きましょ。」
ん?
もうすぐ復活?
「ちょっと展開がゲームより早くないですか?まだ7月ですよね?たしか、ずっと復活しそうってなってて、実際に復活したのは秋頃だったような…」
「ツバサに早めてもらったのよ。」
そんなことできるの!?
「何重にも魔法がかけられてるって、さっき言ったでしょ?それを少しずつ解いてたの。思ったより時間かかったけどね。」
それで解けちゃうのがすごいよ…
「あと3~5個くらいかな…それがすごく難しくて…」
「早くしてちょうだい!」
アカリ先輩は待ちきれないようで、ツバサを急かす。
予定よりかなり早いですよ…
「ツバサも頑張ってるんですから、あまり急かさないでください。」
「ルナ…ありがとう。」
「バカップルめ。」
アカリ先輩に睨まれてしまった。
私たちって、バカップルか?
これがふつーなんじゃないのかな?
「それで、復活したら会いに行くんですよね?なんで私も必要なんですか?」
「多分、私だけじゃ会えないのよ…」
あぁ、そっか…
好きな人には、なぜか会えないようになってるんだっけ。
「だから、代わりに会ってきてちょうだい!」
「俺だけだと、寂しいからルナも来てよ。」
「わかりました。」
ちょっと楽しみかも…
私たちは食堂を出て、各自教室に戻る。
もちろん、ツバサは私を送ってくれている。
「まさか、アカリ先輩も転生者だとは思わなかったよ…」
「本当に言ってなかったっけ?」
ガチで忘れてたのか…
「聞いてないよ。それより、各国にいるんだね。」
「なにが?」
「転生者だよ。私がミンフィーユ王国、ツバサがアニマル王国、アカリ先輩がフラージア王国。」
「本当だ!」
あれ?
気づかなかった?
「すごいね!なんか探せばもっといそうだよね。」
いや、さすがにもういないと思うけど…
そんなたくさんいても困るしね。
「これから、アカリ先輩とも情報共有していこうね。」
「うん。」
そんなことを話しているうちに教室へつく。
「じゃあね、ツバサ。」
「あ、もうちょっと…ダメ?」
ツバサは、捨て犬のような目で訴えている。
その顔されると断れないんだよな…
でも、負けるな私!
「正規ルートで帰るなら、早く行かないと遅刻するでしょ。」
「でも…」
「でもじゃありません。また放課後ね。」
「はーい…」
ツバサは仕方がなさそうに、階段を歩いていった。
耳もシッポも限界まで垂れ下がっていて、ちょっと可哀想かも…
でも、頑張って断った!
えらいぞ、私。
でもやっぱり、可哀想だな…
足取りもとぼとぼって感じだし…
「ツバサ、聞こえる?」
私はイヤホンのようなものを耳に付け、首輪についているだろう盗聴器に向かって声をかける。
『ルナ!聞こえるよ。』
おぉ、元気そうだ。
「こうやって、話しながら帰ったら寂しくない?」
『うん!ありがとう。』
見えなくてもシッポを振っているのが想像できるくらい、嬉しそうな声をしている。
「時間ないときは、こうやって話そうね。」
『はーい!』




