113話
私たちは、暇つぶしに3人で雑談をする。
「ツバサとルナって、どこで出会ったんだ?」
ルイが素朴な質問をぶつけてくる。
え、なんて答えよう…
「道端だよ。俺が一目惚れして、ルナに声掛けたんだ。」
大学内だから、道端ではないだろう。
でも、他に言いようがないもんな…
「そうなんだ。俺もルナとすれ違ってたりするんかな?」
「私、たまに街行ってたよ。ちょっと遠いから頻繁には行けてないけど。」
「俺もたまにしか行かないな。家が近いってい言っても、そんなに行く用事もないし…あ、でも、国民の顔を見るのは好きだったから、散歩がてら歩いてたかな。」
やっぱり、優しすぎる…
ルイなら素敵な国王様になれるよ。
「ちょっといい加減、この氷溶かしなさいよ!」
「僕は…ツバサに負けを認めるよ!」
お、アルスが負けを認めたぞ。
「ツバサ、アルスの氷溶かしていいよ。」
「はーい。」
ツバサはアルスの方を向いて、手を伸ばす。
すると、氷はゆっくり溶けていった。
「はぁ、やっと溶けた…」
アルスは安心したのか、その場に座り込んでしまった。
「ミア先輩も負けを認めたら、溶かしますよ。」
私はツバサの頭を撫でがら、ミアに向かって叫ぶ。
「嫌ですわ…私が負けるなんて、屈辱すぎますわ!」
あら、頑張るね。
「でも、あのままだと魔力切れでぶっ倒れるぞ。」
ルイが心配そうに見ていた。
「ミア先輩の魔力って、あとどれくらいかわかる?」
「10ないくらいかな。」
ツバサがミアに手をかざしながら、教えてくれた。
「結構やばいよね?」
「うん。0になっても魔法放ち続けたら、確実に倒れるな。」
ルイと相談し、ミアの氷も溶かすことにする。
「ツバサ、ミア先輩の氷も溶かしていいよ。」
「はーい。」
ツバサはミアの方を向いて、手を伸ばす。
ゆっくり氷が溶けていき、ミアはちょっとよろけたが、踏ん張る。
「私の勝ちですわ!」
ミアは嬉しそうにしている。
「俺は参加してないから、負けとかないもんね。」
そうなのか?
「勝者、ミア・フラージア。」
係の人が大きな声で断言する。
「終わったのか…?」
「え、なんか最後地味だったね。」
「ミア様、おめでとうございます!」
観客の生徒からは、戸惑いと歓喜が混ざった声が聞こえる。
「粘り勝ちか…」
アルスが座りながら、呟いた。
「アルス、しっかりなさい。」
ミアはアルスの手を引っ張って起こす。
「ありがとう。」
「スティのこと、ちゃんと幸せにするんですわよ。」
「もちろんだよ。」
これで一件落着だね。
良かった良かった。




