109話
お昼休み。
「ルナー!来たよー!」
ツバサはいつも通り、素早くやってきた。
来ないと寂しいけど、来たら呼んでないって思うのは理不尽かな…
「どうしたの?」
「ルナが寂しがってるかなって。」
「ありがとう。今は寂しくないよ。」
私はツバサの頭を撫でながら答える。
「えへへ、そっか。なら、良かった。」
ツバサは嬉しそうにしている。
「外出届の提出の仕方はわかった?」
「うん!シルクに教えてもらって、ルナと2人分出てきたよ。」
「えらいえらい。」
「えへへ、もっと撫でて。」
ツバサは頭を動かして、撫でてほしいところに手を持っていく。
ケモ耳の間が好きみたい。
「そろそろ食堂行こうか。」
「うーん。もうちょっと…」
オオカミって言うより、ワンコだな。
「あと1分だけね。」
「5分延長で!」
はいはい。
「ルナ、大変だ!」
ルイが走って教室までやってきた。
「どうしたの?」
「ミアがスティとアルスのことを聞いて、アルスと魔法決闘することになった…」
魔法決闘?
「簡単に言うと、スティを賭けて魔法で戦うってことだよ。」
ツバサが教えてくれた。
「それの何が大変なの?」
「魔法決闘は、どちらか一方が負けを認めるまで続けるのがルールなんだ。」
うん。
「ミアはスティと結婚できなかったら、死ぬ覚悟なんだよ。だから、アルスが負けを認めるか、ミアが死ぬまで続く。」
え、やばくない?
「ルナ、どうしよう。」
私に言われても…
「いつ決まったの?」
「今日の朝みたい…それで、なんかよくわかんないけど、クララも一緒に戦うらしい。」
あぁ…
告白してるもんな…
「2対1ってアリなの?」
「『どちらか一方が負けを認めるまで続ける』しかルールはないんだ。だから、何してもおっけーだよ。」
ツバサが私に撫でられながら、説明してくれた。
「ミアは何がなんでも勝つつもりってことか…」
「アルスが負けを認めるとも思えないし…ルナ、止めてくれ。」
うーん。
辞めさせたいけど、ミアもそれだけ本気ってことだし、アルスもスティのことを大事にしてくれているみたいだし…
「スティはなんて言ってるの?」
「ずっとオロオロしてる…」
つまり、何も言ってないのね。
「まず、スティの気持ちが大事だと思う。」
「俺もそう思う。」
「決闘日は決まってるの?」
「今日の放課後…」
なんでそんなに早いの!?
「とりあえず、みんな集めよ!それで、話し合いしよ!」
「わかった!」




