103話
「え?だって、スティは今『真実の間』にいるんでしょ?」
『真実の間』を知ってるんだ。
それと何が関係あるの?
「もしかして、大好きなゲームなのに覚えてないの…『真実の間』はアルスからプロポーズされる場所でしょ?」
あ、忘れてた…
『花束の魔法』の定番プロポーズ場所は『真実の間』で、お互いに愛を誓い合っていた。
嘘ついたら処刑していい場所だから、結構ロマンティックで本当の言葉を聞けるから好きだったな。
「ラナさん以外に興味なさすぎて、忘れてたよ。」
ラナさんからプロポーズされる前に、2人で死んでしまうから『真実の間』は出てこないのだ。
「全くもう…ラナのどこがいいんだか。」
ツバサは呆れ半分、怒り半分で呟いた。
「ラナさんのこと、侮辱したら本気で怒るよ。」
「だって、あの人めちゃくちゃ厳しいんだもん。俺、何回も怒られたし、苦手。」
ん?
「ゲームの話だよね…?」
「いや、今の話。初めて会ったのは8歳ごろだったかな…」
は?
「ラナさんと会ったことあるの!?」
「あるよ。」
なんでそんなあっけらかんとしてるの。
「どこで。」
「どこって…俺の家。」
お宅訪問!
羨ましい…
「なんで来たの。」
「ルナ嫉妬してる?えへへ、かわいいな…」
全然違うけど、まぁいいや。
「で、なんで来たの。」
「大した用事じゃないよ。父さんに会うことが目的だったし。俺はついでに挨拶して、ちょっと勉強教えてもらっただけ。」
なんて羨ましいシチュエーションなんだ…
「いいな…」
「ルナも俺に勉強教えたいの?またルナ先生って呼ぼうか?」
そこじゃない。
「お義父さんって、お仕事は何してるの?」
「んー、領地管理と種族管理。あと探索かな。」
へぇ、よくわからん。
領地管理はわかるよ。
結構お家も大きかったし、領地も広いんだろうな…
「俺たちオオカミの獣人って、ティートル公爵家しか今はいないのね。でも、昔はもうちょっといたの。だから、まだどこかにいるかもって探したり、どうやったら増えるか研究したりしてるかな。」
絶滅危惧種ならではって感じがする。
「なんで、ラナさんはお義父さんに会いに来たの?」
「さぁ。俺も小さかったから、あんまり覚えてないや。でも、何回も来てたよ。」
じゃあ、何回も会ってるんだ…
いいな!
いいな!
羨ましい!
「私もラナさんに会えるかな?」
「今は無理じゃないかな?あの人も出世して忙しそうだし。」
ちぇ…
さすがラナさん!って感じだけど、会いたかったよぉ…




