95話
私とスティで考えた『作戦』とは、『花束の魔法』のヒロイン再現のことなのだ。
もちろん出会いのシーンから、順番に再現していくよ。
ルイとシルクは協力してくれるだろうけど、ミアは阻止しにくるよな…
ツバサもお願いすれば、協力してくれるだろうし。
ミアだけ、なんとか足止めしないとな。
とりあえず、スティの見た目をヒロインに限りなくよせるところから始めた。
「こんな髪型、初めてしたよ…似合うかな?」
『花束の魔法』のヒロインは、編み込みハーフアップのゆる巻き。
スティはいつも三つ編みカチューシャだから、髪をおろしているのに違和感があるみたい。
少し恥ずかしそうにしている。
「超かわいい!似合ってるよ。」
「えへへ、ありがとう。」
元々、超絶美少女のスティだからね。
髪型をヒロインによせれば、あのチョロ男はすぐに落ちるだろう。
「美化委員に入ればいいんだよね?」
「うん。それで、花壇に水やりしてて。そこにアルス先輩を連れてくるから。」
私は再現できなかったけど、みんなの協力があれば再現できるはず!
「入れるかな…」
「大丈夫。無理そうだったら、シルク先輩にお願いしよ。」
生徒会のコネ、お借りしますぞ。
「本当にお花に水やりしてるだけでいいの?何かしなくて大丈夫?」
スティは、あのチョロ男の本性を知らないからそんなこと言えるんだろうな。
「余裕だって!雰囲気がほしいなら、風でも起こそうか?」
風になびく美少女…
よくあるベタな展開だけど、チョロ男にはちょうどいいかも。
花びらも舞らせようかな?
「土魔法使える人いたかな?」
あ、そっか。
扇風機用意しようかなって思ってた…
えっと、私が光で、ルイが炎と水で、シルクが氷で、ツバサも氷で…
って、いないね。
「クララに頼めるかな…」
「クララくんって、土魔法だったんだ!」
「うん。結構上手いから、風も操れると思うよ。」
おぉー!
「きっと、スティのためなら動いてくれるよ!」
「うん…そうだといいけど…」
スティは複雑そうな顔をしている。
ん?
「頼みづらいの?」
「うん…」
あら、珍しい。
呼び捨てにするほど、仲良しなのに。
なんで?
「実は告白されて…」




