超能力世界で兄妹が仇を打ちに行く物語
エストテワスコラかさ
お金持ちの学生達が通う桜花学園。
それを山頂から見下ろす1組の男女が居た。
白煙が立ち込める中、男は笑った
「妹よ、遂に辿り着いたぞ!あっはははは」
「そうですね、兄さん」
男の名前は花野 琉弥、女の名前は花野 花子。
「あっはははは、しかし、はは、見事な登場シーンだな、あははは」
「あの、兄さん・・・やっぱりさっきのキノコは食べてはいけなかったのでは」
「何を言う!ふふふ、とても美味しかったぞ!うはははは」
「全然、大丈夫じゃないような・・・まぁいっか・・・」
花子は呆れ顔で納得した。
「うはは、ははは、妹よ、俺達の住処はちゃんとあるんだろうな?うひ」
「ええ、早く向かいましょう、あ、火は消しておきますね煙たいので」
「うひは、早くトイレ行きたい」
すると花子がキッと睨み琉弥にボディーブローを決め込む
「トイレネタNG」
「妹よ、ナイスパンチ・・・」
琉弥はお腹を抑え膝から崩れ落ちた。
そして日も明ける頃、2人は学園へ辿り着いた。
「さぁ!着いたぞ!ハッハッハ!」
周りはチラホラ通学中の生徒が居る。花子はまるで興味が無いように
俺と少し距離を置いていた。
「皆!今日から通う花野 琉弥だ!こっちは花野 花子!
兄妹共々よろしく頼む!うひひ!」
俺は多少大きな声を張り上げると皆が一斉に振り向いた。
「・・・恥ずかしい」
花子は俯いて更に離れていった・・・。
「うひひ、誰か仲良くなってくれ!」
皆は我関せずと目を背け、素通りしていく。
ああ、分かる、解るぞ、この悪意・・・
校門でおかしな奴が叫んでたら流石にみんなドン引きらしい。
「・・・わたしと仲良くする?」
悪意に囲まれて気付かなかったが好意として近寄ってくる女の子が居た。
とても可愛いツインテールの女の子。可愛い顔で笑顔が眩しかった。
「マジですか?ありがとう、うひひ」
俺の笑い声を聞いて一瞬怯んだがすぐに持ち直していた。
「うん!私は咲森 櫻子だよっ、よろしくね、琉弥君で良いかなぁ?妹さんも居るみたいだし」
「もちろんだよ、いやあ、よろしくね!咲森さん!」
「あ、私の事は櫻子で良いから」
「え、うひ、、あの・・・しゃくらきょさん!!」
思い切り噛んでしまった。櫻子は爆笑している。
妹以外の異性との接触なんてほとんど無い上に名前で
呼ぶなんて初めてなんだぞ!仕方ないじゃないか!
「あはは、琉弥君、面白いね、何年生かな?」
「えっと・・・確か2年生で花子は1年生かな」
「あ、私も2年だよ!一緒のクラスだといいね!」
「マジですか?是非仲良くして下さいっ」
「仲良くしよー!そろそろ友達待たせてるから行くねっ」
「あ、うん、ありがとう!それじゃあ」
そうして櫻子は友達の所に向かっていく。
話しかけられたのは1人か、まぁ感情も確認できたし櫻子は良い子だ!
そして少し離れていた花子を見ると殺気に満ちた顔をしていた。
「あの女・・・兄さんに・・・ブツブツ」
危険な事を口走ってる妹に恐怖を感じながらも聞かなかった事にした。
そして2人で学園長室へ向かい、奥に座ってる人に挨拶をした。
「ようこそ、桜花学園へ。私学園長の椛 冴子と言います、さえちゃんって呼んでね」
なんかいきなりフランクな人で対応に困る。
「学園長、今回は俺達を受け入れてくれてありがとうございます」
「さえちゃん」
「・・・は?」
「さえちゃんだ」
「・・・さえちゃん」
「うん、こちらこそよろしく頼むよ~」
学園長は満足気な笑みを浮かべている、無表情な花子とはえらい違いだ。
「所でさえちゃん、俺達の役目を改めて聞きたい」
さえちゃんは一呼吸置くと
「そうだね~、ここ桜花学園は各著名人の子供達が通う学園なの、当然色々な事件に巻き込まれたりもある訳なの、そこで貴方達超能力者の力を借りて
生徒達を守って欲しいの、いわゆるボディーガードって奴かな
でもね、誰が超能力者かは秘密なの、そういう情報が伝わると色々と
対策立てられたりまずい事になるでしょ?だから貴方達も超能力者って事を
隠して欲しいの」
さえちゃんは何故か呼吸を乱していた。
「だ、大丈夫ですか?」
「ハァハァ、噛まずに言えたぁ!」
・・・本当に大丈夫なんだろうか、ここ。
「ひとまず解りました、他に何か気を付けることは?」
「そうね~、花ちゃんの方は1年生だから良いけど琉ちゃんは2年生からだから
、超能力者って気づかれちゃうかも?
怪しまれないように気を付けてね、なるべく目立たないように」
校門で思い切り怪しい行動取りました、すんません。
「わ、分かりました!」
「後食堂は使い放題だからね、それと寮の方に住まなくて良いの?」
「はい、すみません」
「まぁ~、詳しくは聞かないけど、困った事があったらなんでも言ってね~」
さえちゃんにヒラヒラと手を振られ、学園長室を後にする。
「兄さん、私は教室に向かいますね、ではまた・・・」
「わかった、また後でな」
こうして妹とも別れ、教室へ向かった。
教室へ向かう途中、窓から女生徒の姿が見える。
綺麗な人だ、む、胸もでかい。これは声掛けるしかない!!
さえちゃんから目立たないようにとの忠告も忘れ、急いで追いかけた。
女生徒の姿は無いが弓道場か・・・俺は弓道場に向かう。
そこには、弓道着に身を包んだ清楚って言葉を体現したような女性がいた。
ああ、綺麗だ・・・思わず見惚れているとこちらに気付いた。
「・・・どちら様?」
「あ、俺今日転入したばっかりで2年の花野 琉弥と言います!」
「・・・そう」
「お名前聞いてもよろしいっすか?」
「3年の神凪 凛よ」
「凛さん!良い名前ですね!とても綺麗だなぁ!いや本当に」
「貴方、軽いわね。不愉快ね」
凛さんは無表情で答えていた。うん、間違いないな、これ。
「凛さんは本当に不愉快だと、そう思ってます?」
「突然何かしら・・・」
「いやぁ、居るんですよ、世の中口だけの人が・・・凛さんはそうかなと」
「・・・ふざけないで貰える?」
ここまで言われてもなんの感情も読み取れない。
「俺、貴女の力になりたいですよ、困った事、誰にも打ち明けられないのなら
是非力になりますので、吐き出して下さい、今日はここまで、
また声掛けますよ・・・それじゃあ!」
凛さんからは何も答えてもらわなかったが弓道場を後にする。
間違いない、あの人は生きる事を諦めている。
俺の能力は相手の感情が読める。あの人は言葉ではああ言っても
そこに感情は感じられなかった。生きる事に執着が無いんだ・・・
昔の花子のように・・・
てすとですこれはすぐきえます