神だけど、トラック運転手やってます〜異世界転生は大体俺のせい〜
タイトル通りです。主人公が異世界転生した後に残されたトラック運転手の気持ちを考えたらこうなりました。これで安心してみんな異世界転生、異世界転移できますね^^
さ、助手席へどうぞ。
ほら、助手席に座りな。ちょっと狭いけどそれは我慢してくれ。シートベルトは忘れるなよ。何かあっても責任は取れねぇからな。じゃあ早速自己紹介といこうか。はじめまして。どうも、俺が神です。と言っても神話に出てくるようなちゃちなもんじゃねぇ。正確には概念とか理とかそういった類のもんだが説明が難しいから神って言ってるだけだ。そっちの方がわかりやすくていいだろ。そんな俺が今何してるかって?見りゃわかるだろ、トラック運転手だよ。なんで神がトラック運転手なんかやってるのかと言うとだな……突然だが、『世界』というものはいくつ存在していると思う?正解は数百億とかそれ以上、まぁ数え切れないくらいある。この世とあの世のようにつながっている世界もあればパラレルワールドのように完全に分離した世界まで、様々な形で存在している。俺は今その中の一つにたまたま籍を置いてるってわけだ。そして俺には様々な世界の異変を感じる力がある。その世界の神から直接依頼が来たりもするが、俺は異変を感じた世界にそれを解決するための出来る限り最適な人材を送っている。だが最近はどうも救難信号が多くてな。今までより効率よく人材を異世界に送る必要が出てきた。その効率良い方法の一つに元の世界での肉体を殺して魂だけ異世界に送る方法がある。魂だけなら軽いからな。コストもそんなにかからねぇし。肉体だけは向こうで用意する必要があるが、魂さえ入れば肉体なんてなんでもいい。世界によって適合する肉体も変わるからあらかじめ用意された肉体の方が送られた人にとっても負担が少ないし、今では一番メジャーな方法だ。そういう訳で俺はトラック運転手になり、異世界にとっての救世主様を効率よく轢き殺してるってわけ。トラックは良いぞー。移動手段にもなるし、荷物も沢山積める。乗ってるだけでも楽しいし何より車体が重いからスピード次第では殺傷能力も高くて非常に便利だ。ちなみに言っておくが、俺の仕事はあくまで異世界に人材を派遣するまでだ。その後のことは知ったこっちゃねぇ。最終的に異世界が滅ぼうがそれは俺が送った人材をうまく扱えなかった方が悪い。薄情過ぎるって?いやそもそも世界なんて次々生まれたり滅んだりするもんだし、一個ずつ気にしてたらキリないし。というわけで俺はこの世界にいる間はトラック運転手を続けている。まぁ別にトラックで轢かなくても遠隔で心臓を止めたり他にも方法はあるがな。おっと、俺が喋ってる間に早速救難信号だ。とりあえずまた若い男でも送っておくか。おいおい、選び方が適当だって?何言ってんだ。若ければ成長の余地があるし、男なら最悪肉体労働でなんとか暮らせるだろ。ちゃんと考えあっての選択だって。まぁ向こうでも若い男の肉体とは限らねぇが。だから送るのは基本若い男が多いな。異世界の状況次第では女も送るし、死にかけの老婆を送ったこともあるぜ。おっ、あいつとか良さそうだな。……いや、やっぱダメだ。今回はもう少し清らかそうなやつがいい。ちゃんと内面も見てるからな俺は。そのくらいはお茶の子さいさいよ。どういう理屈かは秘密だ。あ!あいつにしよう。とりあえず最低限は満たしてそうだし。今なら完全に油断してるな。行くぜ!俺の運転は荒いからしっかり掴まってろよ!…………よし、成功したな。ちゃんと送れた。じゃあ俺らはテレポートでおさらばするとするか。いつまでも留まってると後が厄介だからなこの世界は。
皆様はじめまして。RaLです。普段から小説はたまに書いたりしてますが投稿するのは今回が始めてです。これからも気が向いたら投稿するかもしれませんがその時はよろしくお願いします。ちなみに遅筆です。