第57話 銀花姫は旅立ついつか輪廻の彼方で貴方と結ばれることを願って
第57話 銀花姫は旅立ついつか輪廻の彼方で貴方と結ばれることを願って
ネフィルの契約が成立した後フェリシアはほかの仲間達と合流して再びフェニックスとの会合を果たしたのであった。
フェニックスと契約を結んだときに突然姿をを消したネフィルのことをフェニックスに問い詰めたフェリシア。 何でなの!と取り乱すフェリシア。
「世界樹の神子よ汝のその想いかなう事はならないのだ」守護竜ユスティアがフェリシアを諭す。
「どうしてよ!」
「不死鳥の契約者である少年はシュトラールの建国王なのだ。 時の堕とし子である契約者殿と契約者の末裔である汝は結ばれてはならぬのだ」
「それってタイムパラドックス!」賢者であるサクラがそれに気がつく
「その通りだ異界の娘よ。 まれに別の時代に生を受けたものが迷い込むことがある。それを時の堕とし子と呼ばれている。時の堕とし子の末裔と時の堕とし子が結ばれることは世界の理に反することなのだ。 結ばれることになればと互いの魂が反発して消滅することになるだろう」
「なんでなのよ! なんでネフィル君が他の時代に堕ちなけらばならないのよ!」
「人が時を遡ることってほとんどないけど、 先祖の人と結ばれることになることは先祖様の血と混ざりあうことを無限に繰り返すことになるのよ。 そうすると世界そのものに矛盾を抱えてしまうのよ。 そうするとあなたがネフィル君と結ばれても結ばれたことがなかったことになる強制力が働いてしまうのよ」
「私、ネフィル君のことが好きだったのに……。 こんなのってあんまりだよ」と泣き崩れるフェリシア
「残酷すぎるわよこんな結末……。 何とかならないの?」エリザベスが嘆き
「まさかアーサーさんと似ていると思ったけどネフィル君がご先祖様だったなんて……」
「方法はないわよ……。 フェリシアさんもネフィル君も輪廻転生から外れた不老不死の存在。 お互いが結ばれることがなく永遠を生きる。 そして死ぬことも許されない……。せめてどちらかが普通の存在でしたら転生魔法とかで生まれ変わればなんとかなるかもしれないですけど」アリスも案が浮かばず途方に暮れる。
「結ばれなくてもいいわ……一緒にいられれば不死者の定めなら。 私、旅に出るわ。 いつか彼と巡り合えるように」 と決意したフェリシアの目は澄んだ菫色をしていたのが印象的だった。
「そう……。 ワタクシが死ぬ前に1回は会いに来てくださいね」
「ネフィル、いやオルピアは自らの運命から心を閉ざし人知れぬ土地で一人で住んでいる」
「人知れぬ地? ってことは旧ザビエ連邦の北の荒野は誰にも立ち入れられない結界があると言われているわ ユスティアありがとう」
フェニックスの神域と現世では時の流れが違いフェリシア達が再びムール山脈に戻った頃には10年の歳月が経過していたのだった。
そしてネフィルを求めて姿を消したフェリシアはアルティアの国から姿を消したのだった。
ユグドラシルの樹のふもとでアーサーとルフィアとユグドラとオルピアの会話
「世界を救うためとはいえフェリシアにはつらい運命を背負わせてしまったな」
「どうかあの子が壊れないでほしいわね。 シュトラールの王家にそんな秘密があったなんて……。 オルピア王あなたはつらくないの?」
「辛いに決まっているさ」
「でもあなたが決断しなければ俺たちも生まれていなかったってことか……」
「輪廻転生の管理って残酷なのよ。お父様とお母さまはまだ知り合いが生きているわ。 別れを告げないでいいの?」
「娘も背負っているんなら俺たちだけ会いに行くわけにはいかないだろう……」
「フェリシアが選ぶのなら私とアーサーが因果律のかなたに消失するのは受け入れるわよ」
「そろそろ行かなければいけないみたいだ。 さらばだ我が末裔よ」
「ああ。 いつかまたな。ご先祖様」
フェリシアが旅立ったのはフェリシアは17歳になり誰もが振り向くような美しい少女に成長していた。
「あーもう。 未開の荒野って広すぎるよ~ 結界とくのにも苦労したしー恨むよネフィル君」 とぼやきながらも一人荒野を旅する少女がいた。
そしてフェリシアは荒野の果てに立つ小さな小屋でネフィルと再会したのだった。
「久しぶりねネフィル君。それともオルピア様と呼んだ方がいいの?」
「いや、オルピアの名は捨てたからネフィルでいいよ」と彼は不老の影響か300歳を超えているはずだったが20ほどの年齢に見える影のある黒髪の青年だった。
一国を築いた貫禄もあってか不思議な雰囲気をもつ美丈夫だった。
「どうして僕のところに来たの? 一緒にいても想いを遂げることはできないんだよ」
「思いを遂げることはできなくても君と一緒にいることはできるよね。責任とってよね」
といってネフィルの唇を塞いだフェリシア
そして時は流れ、アルティアの国には放浪の神子あり。
水の竜の化身たる豊穣の神子。
もう一人は不思議な雰囲気を纏いし炎の王あり。
アルティアの国難の際にふらりと姿を現しそれを解決する二人の青年と少女の姿があったとされていた。
アルティアの銀花姫 完




