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第56話 アルティアの始まり銀の花と不死鳥の唄 ~残酷なる輪廻と転生の代償の後に彼は決断する~

 イフリートと契約を交わしたことによりネフィルの修行は終わりを迎えた。 

「ネフィル君イフリートとの契約おめでとう」

「ありがとうフェリシアさん。 今度はフェニックスとの契約……イフリートより遙かに高位の存在道は遠いよ」

「でも一歩一歩進んでいるですわ」とドリルヘアが舞う

「エリザベスさんも髪が伸びたんですね」

「ええ。母様ミランダのように立派な髪を持ちたいから」

 そう、エリザベスの母ミランダは見事なドリルヘアの女性だった。 イストリアのドリル神の二つ名で呼ばれるほどの……。

「エリザベスちゃんのドリルも立派になったよ~」


 ––ゴチン

 フェリシアの脳天にげんこつが落ちた。

「ドリル言わないでデスワ」

「痛いよ~エリザベスちゃん」

「フェニックスと契約をするのならフェニクスが住むとされている炎の聖地、旧シュトラールのムール山脈の奥に行ってみた方がいいと思うわよ」

「ムール山脈の奥地?」ネフィルが聞き返す。

 サクラが言うにはシュトラールは鉱物資源に恵まれた地であったが、ムール山脈の鉱物資源に支えられているものだった。 ムール山脈の奥地には溶岩が流れる灼熱の地が存在していて何人も立ち入らないその地にフェニックスが住まうとされる伝説が存在していた。

「ムール山脈の奥地ってすごく魔物も強いって学校の資料にも載っていたよ」

「行ってみようよネフィル君」



 そして一同はムール山脈の奥地に旅立つことになったのでした。

 その先に待ち構える残酷な運命を知らずにいた今が一番幸せな時だと後になって振り返れば皆が思ったことであろう……。


 ムール山脈

 一同は旧シュトラールの大山脈を移動していた。 そこは険しい山の中に巨人族や火竜など強力な魔物たちが待ち構える危険地帯だった。

 次々と押し寄せる魔物たちのまえに

「アクアスプラッシュ」とフェリシアの魔法が敵を迎え撃ち

ネフィルの剣が足止めされ火竜の鱗を貫いた! エリザベスの石化の魔眼で石化させ、 セリーニの魔法で倒したドラゴンをゾンビ化させて巨人に突進させひるんだところを、アリスの銃が炸裂した。


「ふうっ。 ここの魔物強いね」

「私はまだ楽勝だけど~」

「それはフェリシアだけだって……みんな肩で息しているわよ」

 サクラが突っ込んだ。

「でもサクラさんも余裕があるみたいですね」

「誰に向かって言っているのよ。 私は一応ミモザ戦役で魔王との決戦に挑んでいるのよ。これくらいでへばっていたらとっくに死んでいるわよ」

 英雄視されている賢者の貫禄だった。 二つの山を超えた先に溶岩が流れる山が見え始めたのだった。

「暑いよ……」とアリスがへばったように言っていたので

「アイスフィールド」

「ありがとうネフィル君」

「こんなことに魔法使っていたら持たなくなるわよ」

アリスのダウンがあったものの一同は灼熱の地を進むと……。 一面が紅蓮に染まった木々や大地が目に入った。

「暑いけどきれいだね~」

「髪がベタベタするデスワ」

「あー忘れていた。これみんなに渡すね~」


 フェリシアはアミュレットをみんなに渡したのであった。

 アミュレットを受け取るとあたりの熱が遮断され涼しくなってきたのであった。

「フェリシアさん。こういう便利なものがあるのなら先に渡してくれるとうれしいのですが……」

「これからもっと暑くなるんだから、少しなれてから渡そうと思ったのよ~」

「本当なのです?」

「だってこれからもっと暑くなるから、これくらいは慣れないとだめだと思ったんだよ~」

「フェリシアちゃんにしては考えているのね」

「アリスちゃんひどいよ」

のどかに会話をしていると突然。 突き刺すような気配を感じて身を構えるが、

 気がついたときにはフェリシア、ネフィル達とほかのメンバーは離ればなれになってしまったのでした。


辺りの景色が一転して赤一色になり、

「フェリシアさん」

「ネフィル君。ここってフェニックスの神域だと思うよ」

「その通りだ人の子よ」

 と巨大なそこに、悠然と翼を広げる爛々と紅く輝く翼を持つ神鳥がいたからだ。

「あなたがフェニックス……」

「うわあー大きい~」

「輪廻転生を守護する一族の末裔よ私との契約を望むのか」

「僕はフェリシアさんと一緒にいたいんだ。悠久の時を生きるあなたと契約してフェリシアさんと一緒にその時を見守りたい」

「それがおまえの望みか小さな人の子よ。 悠久の時を刻むことの代償にあなたにとって一番大切なものを喪う運命背負うことになるとしても?」

「一番大切なモノを喪う?」

「ネフィル君。契約の代償が重すぎるよ」

「なんで、一番大切なモノを、喪うのです?」

「ネフィル。いやシュトラール王国の建国王オルピアよ」

「ネフィル君がシュトラールの建国王?」

「そうだ。そして、これから契約の儀に入る。しばし世界樹の神子よしばらく席を外してもらうぞ」


そして、ネフィルの視界は一転する。

 フェッニクスは話し始める。 世界樹の力が喪失したことにより輪廻転生に狂いが生じたこと。そして、 世界樹の力修復のためそれを成す一族を生み出すこと。 

「フェニックス様? 僕が過去から現在を構成するとは?」

「この世界の輪廻転生の輪はかつて消失しかけたのだ。 聖王アーサーの手により輪廻転生の輪は再び回り始めたが、 聖王であるアーサーが生まれてこなければ世界は再び消失するだろう」

「聖王様が生まれる? どういうことですか?」

「汝はもともとは300年前の人間だったのだだが、運命のいたずらなのか?この時代に迷い込んでしまったのだシュトラールの建国王よ」

「僕がシュトラールの建国王? それって……」

「汝が300年前にシュトラールを建国しなればアーサーもフェリシアも生まれてこないだろうな。 そして私と契約した300年前のシュトラールの建国王の血と今の末裔であるフェリシアの血が交わることは因果律の崩壊を招くことになる。 したがって汝は思い人と結ばれることはあってはならぬことだ」

「それでは僕が300年前の世界に行ってシュトラール王国を建国して来いというのですね」

「然り。 そして汝の子種を王族にしてシュトラール王国を継がせる必要がある」

「つまり。僕はシュトラールを建国して、他の女性と子を作り、不老不死としてこの時代そしてその後の時代まで生きてもフェリシアと想いをとも意を遂げることはできないということですね」

「そうだ。 だがそれを拒んだとしたらフェリシア自体が生まれてこなくなるということだ」

「なんでだよ! 彼女と想いを遂げるためにここまでやってきたのに彼女とだけは結ばれてはいけないなんておかしいよ! それもそれを実行しないとフェリシアが生まれてこないなんて……」

「汝に頼むことは残酷なのはわかっている。だが世界を滅びから救うのはほかに手がないのだ……」

「わかりました。 一つだけお願いがあります」

「なんだ。言ってみろ」

「過去に飛ぶときに僕からフェリシアの記憶を消してほしい」

「わかった」


 そしてネフィルとフェニックスの契約は成立した。


 そしてネフィルはオルピアと名乗り300年前の世界で未開地だったシュトラールの地をフェニックスの加護の力を使い開墾してシュトラールを建国したのだ。

 オルピアと名乗った王は建国後、子を授かると人知れず姿を消したとされている。

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