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第5話 銀花姫と呼ばれるようになって 挿絵追加

 第5話 銀花姫と呼ばれるようになって


 ロギオンで起きた世界樹の騒ぎが終わり、季節が廻り秋に差し掛かった頃だった。

 フェリシアは摂政であるソレイクに呼び出され慰霊祭の参加を促されたのでした。

「フェリシア様。トゥーランで慰霊祭を行う事になりましたので神子姫として参加していただきたいのですが」

「ソレ爺。 慰霊祭ってあの街復興したの?」

 ソレイクに言われ、あの街ってそんなに復興したの?と疑問に思ったので聞き返したら

ソレイク「ミモザ戦役の時には焦土戦術をとったんですけど住民が逃げるのが早かったので無視されたから、被害は小さかったのですぞ。それとフェリシア様ソレ爺はやめてくれ」

 戦役から4年復興可能な街を増やしていこうという気風があったのだ。

「私まだ5歳なのに祭事に出ていいの?」

「フェリシア様は国の象徴の姫君ですので是非と住民からの強い要望です」

 復興している町の慰霊祭なのでデリケートな部分もあるのでフェリシアは聞き返し

「それで祭りって何をやるの?」

「それがどういった形で戦没者を慰霊するかがまだ決まってないのです」

 まだ打ち合わせ途中の案件であったのです。



 そこに異世界転移してから居候するようになった勇者の一人が意見を出したのです。

「それなら。秋が深まった時期なら俺たちの故郷で行っているハロウィンになぞらせたらどうなんだ?」

※ 日本から召喚された勇者で本名は春日宗次(かすがそうじ) 召喚された勇者たち3人は幼馴染で同時召喚されました。  勇者・賢者・剣聖の職業を持つ3人が召喚されたのです。 

「それはいい考えだと思うわ、珍しくソウジもさえたこと言うじゃないの」

 なにかとBLネタで馬が合う賢者の少女も同意する。

「ハロウィンとはどういった祭事なんですか?」

 さすがに異世界の祭りなので知識のないソレイクが質問すると賢者であるサクラが答えた。

 「確か、私たちが元いた世界の民族の祭りでケルト民族と呼ばれている民族が、 晩秋(11月1日)を新年としてその前日(10月31日)夜に先祖の霊が家族に会いに戻ってくると信じられていました思想があったのです。

 しかし、悪霊も一緒にやって来て、作物に悪い影響を与えたり、子どもをさらったり、現世の人間たちに悪いことをするといわれていたのです。 

 そこで人々は悪霊を驚かせて追い払うことを思いつき、 仮面をかぶったり、仮装をしたり、魔除けの焚き火を行ったことが起源とする祭事です」


 3年目の召喚組である剣聖のハルヨリ、本名は篠森晴頼(しのもりはるより)

「俺たちがいた国は別の国だったから他の伝説であった悪いことばかりしていたジャックという男が、魂を取ろうとやってきた悪霊を騙したため、地獄に堕ちることもできず、死んだ後もランタンに火を灯して闇夜を歩き続けたというお話です。

その悪い人にちなんでカボチャという野菜を怖い顔にくり抜いて、部屋の窓辺などに飾ると魔除けの役割を果たし、悪霊を怖がらせて追い払う風習が、いつしか仮装して楽しむイベントになったのです」


勇者たち3人の話を聞いてソレイクは賛成の考えだった。 

「それは面白い風習ですな。あの街は祭り好きだからそのことを伝えて、

慰霊と祭りを楽しむことの両方をやってみるとしよう」

ソレイクも賛成に回ったのだが、当の神子であるフェリシアはというと

「それで私は何をやるの? それと神子だとゲオルグ兄さんも当てはまるけどどうするの?」

「二人でカボチャかぶって街を回るのです」

 ソレイクがカボチャをかぶれというが

「やだ。カボチャかぶりたくない」

 かぶり心地悪そうなのでフェリシアが難色を示す。

 そこにサクラの助け舟が出たのです。

「確かにかぶって歩いたら視界が悪くて危ないわ。カボチャのランタンを持って街を回るに変えた方がいいわよ」


 そして、トゥーランでハロウィンを再現する試みが行われたのだった。

————祭り当日のトゥーラン

 祭り好きの住民たちが多いトゥーランの住民たちは思い思いの姿に仮装して、

魔よけのために怖めの仮装をしている者の街全体に明かりが灯され明るい雰囲気だった。

そして神子である兄弟と義理の弟の3人は、パレードの先頭の馬車の荷台のほろを抜き、

 改造された馬車の上でカボチャのランタンを持って舞台の上で立って掲げていたのだった。

死者を悼むトゥーランの住民たちの姿をみてフェリシアは精霊に祈りをささげて、

亡くなった人たちが安らかに眠るようにと強く祈ると、

フェリシアを中心に街中に銀の花が舞い 、ランタンの明かりに照らされた姿は幻想的だった。

 そして舞い落ちた銀の花の花びらから、たくさんの小さな蒼い光が天に舞っていく姿も幻想的だった。

 夜の中、強い風が吹きランタンの灯りに照らされた花が街を照らしたのだ。

「亡くなった人たちは静かに安らかに眠ってください。それが私からのお願いです。 

今を生きる人たちはそのことを忘れないようにしてください。それが私からのお願いです」

挿絵(By みてみん)

 静かに幼いフェリシアの声が街に響いた。

 そのあと盛大な拍手とむせび泣く声が響き祭りが再開されたのだった。



————そのあとフェリシアたちは街にあった屋敷に戻り

 祭りの成功を祝っていたのでした。

「フェリシア様。ルフィア様の血も受け継いでおられるのですね、ご立派だったですぞ」

 ソレイクがちょっと涙ぐむ中

「すごく綺麗だったわ。 フェリシアちゃん本当の聖女みたいだったよ」

 サクラも同調し

「みたいじゃなくてあれは聖女そのものだろう」

 ソウジ、ハルヨリもフェリシアをほめたたえた。


「俺たちはおまけだったな」

 兄弟だったゲオルグは義理の弟エルテアの肩にポンと手を置く

「僕にはあんなこと無理だよ」



「みんなを驚かせようと思って光の魔法と召喚魔法で銀の花を召喚したんだよ。

 サクラお姉ちゃんの花火を元に練習したんだよ」

 フェリシアとサクラは祭りの仕掛けを明かしたのでした。

「びっくりしたでしょう」

 どや顔で言ったサクラの言葉の前に、みんなは唖然としていたのだった。

 この日からフェリシアは本当の意味で銀花姫と呼ばれるようになったのです。

投稿日がハロウィンにつかいのでハロウィンを題材にしてみました。

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