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第19話 銀花姫の夏休みは帰郷の色

第19話 銀花姫の夏休みは帰郷の色


 ユグドラシル学園も1学期が終わり夏休みの訪れが告げられ、遠方から来た生徒以外は一時帰郷するのだった。

セリーニ「私たちは寮に残るわ」

アリス「またね、フェリシアさん」

 遠方から来たセリーニ・アリスは寮に残り生活するのであった。

フェリシアは隣の州・エリザベスも二つ隣の州で運河便もあるため帰郷することになったのだ。

エリザベスと定期便に乗るフェリシアは

エリザベス「あの二人は外国からの留学みたいだから戻ると3か月往復にかかるようですわ」

フェリシア「遠いもんね。アバロンとクルーニェはいつか行ってみたいけど」

エリザベス「そうですわね」 と船の上で風を浴びながら話す二人だった。

フェリシア「エリザベスちゃんもミランダさんの家だったとは驚いたよ」

エリザベス「そうね。ワタクシも神子様がここまで破天荒だとは思わなかったわ」

フェリシア「これエリザベスちゃんにあげるよ」

と星形のペンダントを渡す。

エリザベス「これ変な効果とかないでしょうね?」とジト目でフェリシアに問う

フェリシア「やだな~ このペンダントは普通のオリハルコンだよ~」

エリザベス「オリハルコン! 全然普通じゃないですわ」

フェリシア「普通のオリハルコンだよ~」

エリザベス「オリハルコン自体普通じゃないでしょ!」と突っ込むのであった。

やはりフェリシアの普通は普通でないのであった。


 オリハルコンのペンダント

効果:ドリル魔法強化・髪を切っても次の日にはドリルヘアに戻る・ドリルの神に祈ると半径1㎞の者の髪を全てドリルにする

穴を掘る能力がある魔物をテイムしやすくなる・ドリルヘアの者が持つと全ての能力が上昇する


 フェリシアにとっては普通のマジックアイテムだったので、普通呼びしていたが……。世間一般では神器・国宝に定義されるものだったのだ。



 ロギオンの船着場で降りてエリザベスと別れたフェリシアは領主館に戻りソレイクに通知表を渡したのだった。

 ちなみにフェリシアの成績は

国語5 算数5 理科5 社会5 体育5 音楽5 魔術5 剣術5 美術1 倫理1 平均4.2 総合順位20/300

とものすごく極端だったのだ。


特記事項 基本的な学力・強さは同世代のものをはるかに超越する点は素晴らしいです。

生活態度に大いに問題あり。一般常識が欠如しています。

天衣無縫とは彼女のためにある言葉でしょう。

と通知表には書かれていたのだった。

ソレイクが頭を抱えたのはいうまでもなかった。


 ユグドラシル学園が夏休みとなりフェリシアたち4人はソレイクに誘われ、

旧シュトラールの街に墓参りに行くことになったのだった。

航路を通り大河を渡って馬車で行くところ10日ほど旅をして、


ゲオルグ「父さんの故郷ってどんな街だったんですか?」


ソレイク「鉱業が盛んだった国だったから、山間にあって自然が豊かだった国ですぞ」

と懐かしむようにソレイクは言った。


フェリシア「旧ローサリア城より緑が深いの?」


ソレイク「全然違うですぞ、山の自然と樹木葬の自然とでは比べようになりませんぞ」


エルテア「僕はデニス領にゆかりがあるけど兄さんと姉さんはクリスベルとシュトラールの二国だから行くのが難しいんじゃないの?」


ソレイク「さすがに二つの都市は大国の首都だったから復興が進んでいて住む者も出てきているようですぞ」


フェリシア「ソレ爺シュトラールやクリスベルとかってどれくらい住んでいるの?」


ソレイク「爺はやめて下され。 今は1000人超えたくらいでしょうか? 最盛期は50万人以上でしたが」


ゲオルグ「ロギオンが300万人の人口ってすごいんだ」


ソレイク「ロギオンが異常なんですぞ、イストリアでも70万人だけど他国の首都より多いくらいだからの

そろそろ着くようですぞ」


 山岳地帯を切り開き山間に沿って城壁が張り巡らされ、大きな町の跡が見えてきたのだった。

フェリシア「これが、お父様の故郷……」


ソレイク「シュトラールの街ですぞ」とかつてを思い出すかのようにさみしげに言ったソレイクだった。


ゲオルグ「ロギオンほどではないけど大きな街だったんだ」


 ソレイクが3人を連れて先導して慰霊碑の前にたどり着いた。

黒い大きな石塔状があり石碑がポツンと建っていて寂し気な印象だった。


フェリシア「ここがシュトラールの慰霊碑」


ソレイク「ゲオルグ様フェリシア様の祖父たちが眠っているのですぞ」

4人は黙祷していた。

(前作の最終話 『王子は世界樹と聖女ともに悠久の時を見守る』を別の方向から描写しています。)


静かに去る4人はかつてアーサーが暮らしていた第三離宮を目指すが、



ソレイク「!! ここに第三離宮に続く道があるはずだったのに?」


とソレイクの記憶にある道がきえていたのだった。近くに廃城となったシュトラールの王城はあったのだが、


フェリシア「ソレ爺道を間違えた?」


ソレイク「いくら何でも30年以上暮らしていた街の道は間違えませんぞ」


エルテア「離宮と言っているくらいだから大きいんでしょ」


ソレイク「ロギオンの屋敷より大きいくらいですぞ」


ゲオルグ「そんなものがなくなる?」


フェリシア「ここ、結界が張ってあるよ~。それもものすごく強い結界だから通れないよ……」


ソレイク「そうか……(この子たちに世界樹のことを話すのはまだ早いか?)」


フェリシア「(ソレ爺は何かを隠している……)どうするの~?」


ゲオルグ「通れないのなら戻るしかないと思うけど」


 4人は元いた道に戻ったのだった。

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