第11話 銀花姫と初雪の調べ
第11話 銀花姫と初雪の調べ
フェリシアたちがイストリアからロギオンに戻ったころには秋も終わり
ロギオンの街は薄く雪化粧をした街並みは冬の訪れを告げていた。
フェリシア「やっぱり寒いね」
エルテア「僕は寒いの苦手だよ」
フェリシア「エルテアは寒がりすぎだよ。 冬に入りかかったばかりなのに6枚も服を着て動けるの?」
エルテア「動きにくいよ」とブルブルしている
「心頭滅却すれば火もまた涼し」と叫びながら上半身裸で走っているおっさんがいたのは見なかったふりをしていたが、
ゲオルグ「もう少し鍛えた方がいいんじゃない?」と寒がりのエルテアを見て言った。
いつの間にか現れたリンネは「ダルマストーブ」とひとこと言って。
グサッと傷ついているエルテアの姿があった。
フェリシア「リンネちゃん久しぶり~」
リンネ「久しぶり~」
フェリシア「リンネちゃんはどっから来ているの? 寒くないの?」
リンネ「寒くはないけど、 どこから来ているかは秘密だよ」
エルテアが領主館の屋上でうっすらと雪が積もっているロギオンの街並みを眺めていて、
ゲオルグは同じく屋上で槍の素振りをしていたので、
フェリシアは雪に手を付けて手を冷たくしてからエルテアの後ろから手で目隠しをして
フェリシア「だーれだ」
エルテア「ひゃっ。 冷たいよ~ お姉ちゃんひどいよ」
といじけてしまうのであった。
リンネ「痛いの痛いの飛んでいけ~ リザレクション!」
フェリシア「りんねちゃんすごい~ リザレクションってすごい難しいはずだけど」
リンネ「そうなの~」(生命を司るためあっさり使える精霊さん)
―——― 昼過ぎになって雪が降ってきたので
領主館の中で遊ぶことにしたフェリシアたち。
ゲオルグ「おい。フェリシア今度は姿隠し(ハイド)の魔法は使うなよ。 あと幻想もな」
サクラ「かくれんぼで姿隠しや幻想の魔法なんて使ったの?」と白い目で見る
フェリシアが小声で「あと転移魔法も」
サクラ「それは反則でしょう。 どこのごっこ遊びで中レベル・高レベルの魔法なんて使うのよ」
フェリシア「この前は変身魔法でソレ爺に変身して逃げたし」
サクラ「魔法は禁止です」と呆れていったサクラだった。
だが、魔法抜きでもフェリシアは強かった。 運動神経の良さや気配を消すスキル・天井裏に忍び込むなど
普通かくれんぼで使わないようなスキルを用いていたり、 魔法を使わなくても近くで音を鳴らすなどして注意をひいて
別の場所に隠れなおすなど高レベルの隠れ方をしていたので、 フェリシアが隠れるときは5分ルールといって
5分で見つからなかったら1回仕切り直しにするルールが追加されたのであった。
今まで50回かくれんぼをやって1度も見つかっていない最強さを発揮していたのであった。
―——― 三時のおやつ
領主館の小食堂でフェリシアたちはおやつタイムをしていた時だった。
ゲオルグ「このアップルパイおいしいね」
フェリシア「運動した後は甘ーいパイはおいしいよ」
ゲオルグ「それで今回はどこに隠れていたんだ?」
フェリシア「ゲオルグお兄ちゃんのすぐそこにいたよ~」
ゲオルグ「すぐそこ?」
フェリシア「壁の中」
ゲオルグ「わかるか! そんなとこ!」
エルテア「フェリシアお姉ちゃんどうやって壁の中に入るの」
フェリシア「えっとねえ。 バールを壁の隙間にさして板をはがしてねえ」
ソレイク「フェリシア様!建物を壊さないでください」
ゲオルグ「でも壁は壊れてはいなかったよ」
フェリシア「だって左官道具とか使って5秒で元に戻しているから、
隠れるのも簡単だよ~」
ゲオルグ「5秒で直せるのお前だけだ!」
ソレイク「それは簡単じゃないですぞ!」
ソウジ「プロの大工や建築の職人でも無理じゃねえ?」
とみんなの反応は否定的だった。
―——― 深夜
夜のとばりがおりて寝静まったころ
フェリシアは再び夢幻図書館に赴くのだった。
夢幻図書館は以前と同じく
フェリシアはここは寒くないなあ、それにしても借りた本ってどうすれば返せるのだろ予思ったのだが、
巨大図書館でどこに本を返せばいいのか全くわからない状態だった。
フェリシア「オルドローズさんいる~」
オルドローズ「イヒヒヒヒ 呼んだかね」と以前と変わらない姿の老婆が姿を現したのだった。
フェリシア「オルドローズさん。 本を返したいのですけど」
オルドローズ「そうかね。そうかね。ならそこにいるジジイにわたすとよいのじゃ」
???「じじいで悪かったな」と杖を突いて腰が曲がったおじいさんが現れた。
フェリシア「おじいさん。 この本を返したいのですけど」
???「これは可愛いお嬢さんじゃ、これは精霊理論と鑑定魔法の本じゃね儂の名前はキランじゃ
確かに受け取ったぞ」
フェリシア「キランおじいちゃん 木の精霊についてって知っています?」
キラン「ドライアードとエントじゃな」
フェリシア「他にはいないのですか?」
オルドローズ「フェリシアお嬢ちゃんは木の精霊と何かあったのかね?」
フェリシア「よくわからないのですけど、 木の精霊だと思った精霊が本にあった精霊に当てはまらないのです。
本に載っていない精霊っていないのですか?」
キラン「精霊王くらいしか心当たりがないのじゃ」
フェリシア「精霊王? 名前からして上位精霊より上の存在みたいですけど」
オルドローズ「精霊王は神に等しい存在じゃ、 フェリシアお嬢ちゃんがあったと言っている精霊は違うはずじゃよ」
フェリシア「不思議な子ですけど神様といわれると違うような気がします。 するとあの子は精霊じゃないのかなあ?」
キラン「本は記録しているだけだから本に乗っていない物もたくさんあるんじゃ、
お嬢ちゃんが本を調べても載っていないと言っておるが、本に乗っていないだけの可能性もあるはずじゃぞ」
フェリシア「わかりましたありがとうございます。 キランおじいちゃんオルドローズおばあちゃん」
と言って元のロギオンに帰っていったフェリシアだった。
キランとオルドローズの術を解きアーサーとルフィアの姿になる。
アーサー「まあ世界樹の精霊は乗っていないだろうな」
ルフィア「リンネの正体について疑問に思っているみたいだわ」
アーサー「さすがに世界樹の精霊とその眷属までは載っている本はなかったからなあ……」
ルフィア「少しずつ大きくなっているわねあの子」
アーサー「ああ。 せめて息子と娘ぐらいは見守ってやりたいものだ……」
と世間に出れない聖王様と大聖女様でした。
かくれんぼもチートなフェリシアちゃんでした。
こっそり見守る両親たちも出てきました(笑)




