行き着く
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ハローご機嫌いかがうるわっしゅー?
この世には、女の子が女の子に接客するご飯屋さん「ゆりりトラン」があるの。
私の名前は、藻雲めぐり。「ゆりりトラン」巡りが趣味な、ごくごくフツーのキャリアウーマンよ。
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ゆりりトラン。私がそう呼んでいるお店の種類は、千差万別、多種多様。下町の古風な個店もあれば、今日来ているような豪華絢爛な中華飯店もある。
「んーっ、いい香り」
天津飯、卵のスープ。中華そばに北京ダック。そして麻婆豆腐。自分の席に置かれてゆく料理達を前に、私は思わずよだれを垂らす。
「ごゆっくりどうぞー!」
そう言って立ち去ってゆく女の子。そんな彼女の深紅のチャイナドレスの切れ目から、白くて艶のある御脚がチラリ。ああ眼福。食べ終わってもいないのにごちそうさま。
「どう? どう? 今日からの新衣装!」
チャイナドレスの女の子が向かった先は、私の右目の視界の端にある席で丸テーブルを拭いていた給仕姿の女の子。チャイナっ娘がおもむろに椅子の上に左脚を置いたことで、拭き作業の最中の彼女からはバッチリその美しい脚の根本が見えているに違いない。
「……椅子、汚さないでよね」
「えーっ、他に言うことあるでしょー!?」
「無いわ」
「ちぇー……」
いかにも不満そうな声を上げつつ、チャイナっ娘は次の席へ向かった。よく見れば、少女の持つ銀のお盆にはまだ二品、料理が載っていた。
「お待たせしましたー! 牛のキ〇タマ、いうなれば睾丸のスープと『童子蛋』でーす!!」
「ぶふっ」
危ない危ない。もう少しこらえるのが遅かったらご飯粒を吹き出しているところだったわ。もう一つの料理は……初めて聞いたけれど。
「いうなればってないわよ」
給仕の女の子が不意に呟いたが、むせそうになっていた私には何の反応もできなかった。