目覚めの悪い朝
とある一角の一軒家にて。
「おはよう」
って、邪魔なんですけどー。
私は朝イチに洗面所に行く、そして顔を洗ってうがいをする。それが私のあさイチにすること。私の朝イチのルーティーン。
けれど、今日は私は仕事が休み。だから遅く起きたらなんということでしょう。
「ん、おはよう。寝癖がすごいぞ」
私の居るはずべきにいる所に、男が立ち塞がっているではありませんか。
こいつは辰巳 勇人。
何かと外見にはこだわらない。イケメンなくせにな。あ、でも前髪を私から見て右側で分けている。焦げ茶色の髪色で、鋭い目で青色の澄んだ瞳。
そして、いつも眼鏡をかけてから出勤する。
質素な感じだけど、多分会社では人気があるだろう。
昔から顔がイケメンで有名だったから。それに、会社と家では全く同じ性格出いるのだろう。そのねじれた性格で。
「ごめん、洗面所の時間が被った」
ふむ。人の気遣いができるほど、時間に余裕があるのだな。そして、何かと真摯な対応に驚かされる。
まぁ、会社でもそうなんだろうけれども。
改めて半分鏡に映った自分見ると、なんとも醜い姿であった。
「あ、だいじょぶ。口が臭くても、髪がボッサボサでも大丈夫」
あ、大丈夫じゃないんだな。了解。
洗面所待ちをしているこの女は、依玲 飛奈
特にこれといった可愛さもなく。家では前髪上げている。出かける時は普通に下ろしているらしいが、見たことは無い。
それに、下ろしても上げていても可愛くないことには変わりないはずだ。
ただ、俺には変な気持ちが残ってる。多分この気持ちに自分は気づけないだろう。だからと言って誰かに助けてもらう必要は無い。自分で気づくことに意味があると思う。
「いや、大丈夫だから。辰巳も早くしたいでしょ?」
ほら。人を優先にする。
そうゆう所も昔から知ってる。優しすぎて、人を優先にしてしまうとこ。他人に踏み台にされても起こらないとこ。
「あぁ、早くしたいね」
辰巳は茶髪の前髪をたくしあげながら、にやぁっと笑った。
この笑顔には裏がある。絶対変なこと思い出してるか、考えたりしてる。
私は少し身構えた。
「だ、だったらさっさと手を動かして!」
「ふっ…はいはい。てかさっきから手だけは動いてるんだけどな」
私はズイっと辰巳を押し退けて、洗面所に置いてある櫛を取る。
髪を櫛に絡ませる。そして下に引張る。
ふと鏡を見ると、辰巳がこっちをいつもの冷めた目で見ていた。
反射的に体が跳ねた。
「な、何よ。なんでこっち見てんのさ」
「んー?最近おっきくなった?」
鼻の下が伸びてる気がするけれど、それはさておいてだな。
辰巳は少し腰を曲げて顎に手をやった。
身長かな?私の身長は158センチ。辰巳の身長は178センチ。
20センチも違うと、馬鹿にされることが多い。
「何が?身長だと嬉しいなぁ~。なーんて」
「いや、普通に胸が……──」
「そうでしょ………ってこんのやろうがぁっ!」
───ベチン!
「ははっ…いい事じゃんか。俺はいつも通りってことで」
辰巳は眼鏡をかけ直した。片手は左頬にあるが、そんなことはどうでもいい。
しまったな……辰巳に平手打ちをすると、後で倍にして返される。
違う方法で倍返しされる!
「ま、あとで仕返しされることは分かってるだろうがな」
「ひっ………!」
じりじりとこっちに詰め寄ってくる時の顔がいちばん怖いんだよ!男に勝てる女が居るか!居るけどさ!私の身近に人に!
「そう怯えるな」
ズイっと辰巳が顔を私の耳に近ずけた。そしてぼそっと呟いた。
「今夜は優しくするからよ……」
「うん。君はやっぱり変態だ。てか、早く行け」
私は右の親指を立てて、辰巳を見た。辰巳は何故か微笑んでいた。
そして辰巳は洗面所の扉付近においてあったカバンを持ってから、玄関へと歩みを進める。
「んじゃあ、行ってくる」
「うん。いってら~」
辰巳は玄関の扉を開けて、ニコッと笑ってから出て行った。
「はぁー暑」
私は手で顔を仰ぎながら、リビングへ戻って行った。
(つ・-・)っ◽︎スマホ
玄関前で立ち止まる辰巳はおもむろにスマホを取り出して、ホーム画面を確認する。
そこには依玲とのツーショットが貼ってある。
初めて恋愛ものを書かせて頂きました。
これから先全く登場人物の心情が読めないかと思います。その場合はなんなりと言ってください。
そして、異世界に転生したらスコップ以外何も無かったのでスローライフ送ります。もよろしくお願い致します。