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第八話:港町ケルベット

あれから三日が過ぎた。

ここはルーディア大陸とゼネル大陸を結ぶ港町、ケルベット。

私たちはここの市場で長くなる船旅に備え、保存がきく食べ物や万が一の時んのために優二の身を守る武器や防具などを持てる限り買っておくことにした。今は戦闘道具屋に居る。

私は愛用の長剣を持参しているしシュガは腕が立つヴァルフォード家暗殺者隊の中でも腕が立つ部類に入るので、私たちの心配の種となると自分の身の守り方を知らないと思われる優二なのである。

それに優二は私たちと違い、『能力』を持っていない。私は刃之女神ブレードガディスがあるし、シュガはシュガで暗殺者らしい能力を持っている・・・と思う。

一人が一つ能力を持つ世界。その中での優二はライオンキングに狙われたビッグゼブラよりも貧弱。

・・・ちなみにライオンキングは崩壊前ライオン、と呼ばれた動物が進化し、体長3mほどになったもの。ビッグゼブラは2倍ほどに進化したシマウマだ。

・・・それにしてもえらく人がいない戦闘道具屋だな。寂れているのか?

そんな事を思っていると、刀剣に見入っていた優二がなにやら話しかけてきた。

「なぁ、エリィ。ちょっと気になってることがあるんだけど・・・いいか?」

「なんだ?言ってみろ。」

うむ。私と身長が変わらんのに童顔とは・・・似合っていないようで実に可愛い。

撫でてやりたくなるこの衝動は動物に対するものと同じだろうか・・・

「うん、このパジャン王国て、島国だろう?なんで大陸に所属してるんだ?」

「ああ、説明していなかったか。お前たちの時代と一緒なんだよ。」

「は?」

「なぜパジャン王国は島国なのに大陸に入っているのか・・・お前の時代はアジア大陸に所属していたはずだ。ルーディア大陸はお前たちで言うユーラシア大陸の右半分を取り入れたアジア大陸なのだよ。」

「ふーん・・・。」

「納得したか?」

「あぁ!ありがとなエリィ!」

「うむ。さて、武器と防具は決まったのか?」

そういうと優二はひと振りの木刀と分厚いなめし革の鎧を持ってきた。

「どうだ?シュガの見立てなんだが。」

「刃物ではないんだな。鎧も革だし・・・」

そういうといつの間にやら近くにいたシュガが言った。

「優二さんのことは聞いておりますので。我々ほどの体力もなければ剣の振り方も知らない・・・それにどんな見習いだって最初は木刀でしょう?」

たしかに素人が刃物を振り回すというのは大変危ない。味方にあたったり、すっぽ抜けた剣がどっかいったリ、自分を斬るという芸当をやってのけたり。

洒落にならないので木刀で稽古をつけてからでも良いでしょうというわけだ。

「それにこの木刀は名工ウェポンメイ・クウマーイ、なめし革の鎧は防具の申し子とまで呼ばれたガードハダイ・ジーネの作品です。そこら辺のモノには負けないほど丈夫で、強く、安いんですよ。」

どっからどうみても私には只の木刀となめし革の鎧にしか見えないのだが・・・まぁ、シュガがそういうのならそうなのだろう。

「では清算をしてくる。優二はシュガと一緒に予約しておいた宿に行っていてくれないか。」

「おー、わかった。じゃぁ、行くか?シュガ。」

「エリィ様はお一人で大丈夫ですか?」

「ああ。」

「わかりました。では先に行っております。」

「優二を頼んだぞ。」

「ええ。」

そう言うと二人は店の外へ大量の荷物を抱えて出て行った。

私はそれを見たあと、清算場に向かう。

清算場にはひとりの老人がいた。

「ご老人、これらを清算してもらいたい。」

「ぁん?・・・3253イェンだ。」

えらく無愛想な店員だ。客によっては接客態度が悪いとかいいそうなほどに。

「これでいいか?」

「・・・丁度だな。いくつかおまけしておいた。」

「かたじけない、ご老人。」

「・・・ご老人てのはやめてくれ。」

「では主人ではどうか?」

「・・・むぅ。まぁ、それでいい。」

「ではな、主人。」

「ああ。」

おまけとは・・・無愛想なのではなくて不器用なだけなのだろうか?誤解されやすそうだな。なんにせよ、いい主人だ。また行こう。

そんな事を思いつつ、宿へ向かった。


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