第三話:前途多難、喧嘩上等。
「そういえば俺って全然この世界の事知らないんだな。」
優二は一人呟いた。
あれからも色々エリィにこの世界のことを教えてもらっていたのだが自分がいた世界とは何もかもが違い、自分の居た世界とは違うんだなと改めて実感させられたのだ。
もっとこの世界のことを知っておきたい――そう思った優二はシグルスに相談することにした。初対面での印象からシグルスと顔を合わせるのは嫌だったのだが、エリィに聞きまくるのもなんだか気が引けた。
思い立ったが吉日とばかりにの部屋の前までやってきた優二は、ドアをノックした。
コンコンコン
「おーいシグルス〜。」
コンコンコン
「シグルス〜?居ないのか〜?」
コンコンコンコンコン
「居るなら返事しろ〜。」
何度呼んでもシグルスからの返答はない。
「どっか出てるのか?まったく・・・こんな時に・・。」
ガチャ
「何か・・・重大なことでも?」
「居るんなら返事しろよ!!」
「私だって・・・忙しいのさ・・・。君とは違って・・・楽な事ばかりしているわけには・・・いかないのでね・・・。」
ガキみたいな外見のくせに何を・・・と思ったがシグルスの眼の下には濃い隈が見られた。
服はよれよれで、部屋の中を覗いてみると机の上には書類が山積みになっているのがわかる。
「それで・・・、何用なのかな?私は仕事を・・・片付けたいのだが。」
言葉の節々ににじみ出る疲れに驚きつつも、優二は話を続けた。
「あ、ああ・・・実はだな。俺、この世界の事なにも知らないだろ?だからお前にもいろいろ教えて欲しくってさ。」
「・・・頼むなら頼むなりの態度を示せ・・・と言いたいところだが・・・エリィがいるだろう・・・。」
シグルスは疲れてが極限に達したのかウトウトし始めた。
「いや、そうなんだけどさ・・・エリィにばかり聞きまくるのもアレだろ?」
「むぅ・・・しょうがないな・・・バルド!!・・・イリアス!!」
そうシグルスが叫んだきっかり5秒後に若い燕尾服姿の男女のペアが現れた。
男のほうは精悍な顔立ちをしているが、顔の中心から右頬にかけて傷跡がある。
黒い髪をオールバックにしてに犯罪者並の剣呑な眼。そして高い身長はプロの傭兵を思わせた。意外にも細いが拳には血管が走っているので引き締まっているだけなのだろう。
一方女のほうは優しそうで綺麗な顔立ちに女らしい身体をしていた。
ポニーテールにした茶色い髪、柔らかい眼、男に対して身長は低かったが、腰に吊ってある幾本ものナイフが幾度となく死線をくぐってきた戦士であることを物語っている。
「「なんでしょうかシグルス様」」
「お前たちに・・・頼みたいことがある。」
「・・・頼み?」「・・・ですか?」
男女は混乱して何故か混乱しているようだった。
「そうだ・・・簡潔に言うぞ・・・こいつが例の男だ・・・この世界のことを知りたいらしい・・・町にでも連れてってやれ・・・・」
「は・・・・・はぁ・・・・・」
男が困惑しながらも頷くと、シグルスはよろよろしつつ部屋の中へ戻っていこうとした。
「お・・・おい!シグルス!!」
「そいつらに・・・教えてもらえ。私は・・・・仕事を・・・・」
そうシグルスが呟いた瞬間女がシグルスの背中に強烈な拳打を放った。
シグルスは眠気もあったのか倒れた瞬間、男がシグルスの体を支えた。
「お・・・おい!?なにやってんだよ!!」
突然のことに優二はそれだけ言うのが精いっぱいだった。
「シグルス様はほうっておいたらすぐに無茶をする。」
「ですから私たちが無理にでも眠らせなきゃいけないんですよ。」
「だからって殴ることはないんじゃないのか!?」
そう優二が言った瞬間、男は優二の頭を掴んだ。
優二は抜け出そうとしたが、あまりの力の強さに抜け出せない。
そんな優二を男は怒りのこもった目つきで優二を見ると吐き捨てるように言った。
「・・・好きでやっているとでも言うのか?初対面で事情も知らないくせに随分となめた口をきいてくれる。」
言葉の節々から怒りがにじみ出ている。優二は背筋に寒いものを感じたが男がこぶしを振り上げた瞬間、女が男を止めに入った。
「バルドさん、そこらにしておきなさいな。」
「・・・イリアス・・・」
「初対面の人だからこそじゃないんですか?疑念・・・怒り・・・私たちの行動を他人に当てはめてみてください。いきなり殴って気絶させるなんて怒って当然では?」
(いや・・・・実際殴ったのはあんただけど・・・)
イリアスの言葉にバルドは優二の頭から手を離した。
「バルドさんがいきなりすいません・・・ですけど、事情を知らないのなら口を出すのは避けたほうがよろしいかと思われますよ?」
優二の顔を覗き込みながらイリアスは言った。ここは素直に謝っておくことにした。
「・・・わかった・・・気をつける。悪かったよ。」
「はい!いいですよ〜。バルドさんもいいですよね?」
「・・・・・」
「バルドさぁん?」
「・・・・・むぅ・・・すまなかった・・・。」
「仲直りですねぇ〜男の友情はいつ見ても良いものです〜」
((…友情?))
イリアスの言葉に二人は首をかしげるのだった。
どもー上地雄大です。
正直言いまして、なんかワードで夢中になって書いてたら・・・あれですよ。
もう5話くらいまで出来てました。(笑
まぁ夢中になれるって良いことですよね!?
でわ、駄文失礼しました〜。